第49話
〜・〜
数日後、僕は呼び出しを受けた。
最近珍しく呼ばれる回数が
もちろんいつもなら第一部隊の指揮官である僕でさえ、必要な最低限の情報しか開示されない。
僕は聞く気もないけれど。
戦闘の役に立たないものはいらない。
ちなみに本日で5徹目である。
ずっと戦いに身を置いていた。
帰還してそうそうに隊員たちは青い顔をしていた。
今は3時間休憩ということなので、みんなその間に睡眠をとって装備の用意をしているだろう。
トントンとドアをノックする。
「
『入れ』
木田の声がして、僕は室内に足を踏み入れた。
やはりバタバタとうるさい中に、木田と
もう1人知らない顔がいた。
僕はチラリとだけ向いて、すぐに木田に視線を移した。
「今日は二つ」
「はい」
「まず紹介。こいつは夕顔。
秋信の後を任せる予定になっている。
これから指示役に回ることもあるだろうから、覚えておけ」
僕は夕顔と呼ばれた人物の顔を見た。
黒髪と吊り目がちな瞳。口元にほくろがあって、声は落ち着いたトーン。
年は20代後半程度か。
雰囲気は、落ち着いていてその瞳も木田や秋信のように掴めはしない。
2人のキャリアを考えれば、この人はまだまだ新米って感じかな。
僕は名乗った。
「第一部隊指揮官、
よろしくお願い致します」
「…夕顔だ。よろしく」
この人…。
けっこう
大体の者は、ルナの外にいるとき、常に刺客や口に出しては行けない言葉などの理由によってどうしても緊張しがちだ。
それがここ本部に来ると皆、安心感からか気を抜いたりする。
けれど彼は僕を警戒して握手を求めなかった。
腹の中は読めないが、木田と秋信に比べればその表情は読み取りやすい。
緊張と警戒の視線。
そもそも裏に入ったばかりのような、そんな緊張の仕方に見える。
そんな人が
まぁ、夕顔がまだ無垢な状態だからこそ早く育成したかったのだろう。
無理やり引っ張ってきたとも言える。
今から裏事情全部覚えさせられるとか、かわいそう。
と思いはしたが口には出さなかった。
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