第43話
「ねぇ、紅」
「……」
「どっちでもいいならさ」
「………」
「ここで
「却下」
なんでだよ!
どっちでもいいならいいじゃん!
僕体力有り余ってるのに!
「なんっでいつも断るの!?」
「……」
「一回くらい、いいじゃん!」
「……そもそも今お前が死んだらルナはもたないだろ」
「それは大丈夫でしょ。
いつ死んでもいいのが魅力の第一部隊なんだから」
「…………」
何度でも言う。
僕は戦場で死にたい。
戦場で死ぬということは引き継ぎも何もなく急死決定である。
そもそも僕1人で潰れるルナではない。
僕は上の重役でもない。
肉壁要因に死んで困る理由はない。
「…俺は今お前に死なれたら困る」
「え?なんで?
っていうか僕のこと
わかんないよ?死ぬのは君かもしれないじゃん」
「……」
その時だった。
初めて彼の表情が変わる。
フッと、
彼が笑った。
小さな変化で、ほんの少し口端が上がっただけだったけれど。
確かに、彼は笑った。
僕は目を見張った。
見間違え、ではない。
「今のお前じゃ瞬殺だろうな」
しかも失礼な言葉付きだった。
僕は馬鹿みたいにポカンとしていて、その言葉があまり頭に入ってこなかった。
なんだ。
笑えるのか。
この人、表情筋ちゃんとあるんじゃん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます