第40話


第一部隊は先行隊。

道を作る方が仕事だ。


普段は頭目とうもくを撃ったり目標を保護したりするのは、いつも第二部隊が引き継いで行っていた。



だからどうしても、慣れない仕事にもたつく。



僕は3階まで登ってきた。

手に入れた情報源を渡したくない敵は、さすがに守りを固めてきている。


突撃開始から約40分。

保護対象は生かされているだろうが、意識はあるだろうか。



拷問部屋の前にいた護衛を蹴散らすと、中に突撃した。

それと同時にこちらに銃を向けた3人を撃つ。



そこで。

保護対象が顔を上げた。

傷だらけではある、が。

生きている。



拷問部屋の前は特に護衛が強固だったが、

中はスカスカのようだ。

これなら対象の保護にもたついたとしても、この場に僕は必要ない。


もう一度だけ他に戦闘要員がいないか確認してから、僕は耳の通信機に指示を出す。



「保護対象の生存を確認。手筈てはず通りに保護して。

現状、第二部隊の到着は期待できない。

だから第二部隊に代わって僕がこのまま最上階まで殲滅に向かう。

僕の後ろについて来れるやつは、着いて来い」


『了解』



さて、と。


3階はすでにほとんど片付いている。

敵は、ここまでのフロアに戦闘要員を割いているようだった。


ならば、この上にいるのはほとんどがこの組織の上役で、戦闘要員は少ないだろう。


弱者を甚振いたぶるのは好みではないが、こちらの情報を握られている以上生かしてはおけない。


僕は銃の弾を補充する。

血に濡れたナイフを投げ捨てると、新しいナイフを袖口から滑らせた。


装備に不備はない。



ここからは楽しいことはない。

ただの蹂躙じゅうりんだ。


僕はきっと今、酷くつまらなそうな顔をしている。



でも仕事だから。



少しくらい、我慢しないとね。








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