第23話
第一部隊、第二部隊が敵方を殲滅させたのは、開始から約1時間だった。
早い方だ。
あっさりしてる日はもう少し早く終わるが、弱かったけれど敵方の抵抗は激しかった。
撤収作業をぼんやり眺めながら、僕は思い出す。
いつかの日。
あの漆黒が舞っていた日。
第二部隊が別の方面に駆り出されていて、僕たち第一部隊は増援を望めなかった。
先行当初はすぐ第三部隊が来てくれる
それなのにあろうことか、僕らがすでに切り開いていたはずの敵方の玄関口で手こずっていた。
第一部隊はすでに死者が多く、部隊として機能しなくなるのも時間の問題だった。
戦闘開始から約4時間が経過した頃だっただろうか。
そう、紅が現れたのは。
突然現れたその人を、僕は敵方の刺客だと思って身構えた。
けれど、その人物はルナをうまく援助しながらあっさりと道を切り開いていく。
流れるように。
舞うように。
そう。その姿はまるで。
──踊っているようだった。
そんなことを思い出していたら、撤収作業が終わった。
敵方の制圧が終わり、僕と柊は
それが終わって僕は外に向けて歩き出した。
撤収作業は別の班の仕事だ。
僕ら戦闘隊の仕事ではない。
その時。
「あー!!
建物を出てすぐに、しれっと紅がいた。
壁に背中を預け、だるそうにタバコを吸っている。
なぜここに来たというのか。
「なんでなんで?
もしかして、手こずると思って来てくれた感じ?
もう終わったよー!
ってことで、僕と
「………」
紅は無口だ。
必要最低限しか話してくれない。
でも僕はそれもいいと思う。
僕らの世界では会話、なんて腹の探り合いでしかない。
けれど紅はほとんど自発的に話さない。
僕が一方的に、直球で欲求を口にできる。
「ねぇ紅!今日の仕事暇だったからさ、
「………」
「あっさりだよ?あっさり。
1時間しか遊べなかった。
足りない足りない足りない!」
僕は全力の駄々っ子を披露する。
文字通りである。
その場で寝そべり、手足をバタバタと動かす。
18歳全力の駄々である。
と、そこで紅が口を開いた。
「今日の俺は情報管理の方だ。
お前に用はない」
「そんな冷たいこと言わないでさぁ…。
一回でいいんだよ?
たった一回ポッキリ」
「お前死ぬだろ。そりゃ一回ポッキリになるだろうな」
「うわぁ!確かにどっちかは死ぬけど、僕は負ける気ないよ?
だから
「お前の戦闘見てりゃわかる」
「え?見ててくれたの?わぁ!感激!
そして感想は!?」
「基礎がない。応用だけ」
「あちゃー、学がないのは認める」
僕の戦闘スタイルは常に本能を満たすための動きでしかない。
"基礎がなければ足元を救われるぞ"と言いたいのはわかるが、応用でカバーできればいいと思っている。
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