第19話

僕らには基本的に休みというものがない。

一つの部隊に何人も指揮官はおけないからだ。

そもそもそんな人材どこで手に入れるんだって話。



裏の人口は世界人口の約5%未満。

一度に動く人数も死ぬ人数も多いこの社会。

人材不足は深刻である。




おかげで紅にコンタクトをとって戦闘を挑むこともできていない。



「ねーえー!木田さん!僕のポケットマネーでいいから紅呼んでよー!」


「うるせぇ仕事しろ」


「僕ら第一部隊に書類系の仕事ないじゃん。

そのために第一部隊希望したのもあるし。

待機命令あるから毎日来てるけどさぁ」



そう、何度も言うが第一部隊は死にやすい。

入れ替わりが多いから、書類引き継ぎなんでする暇もない。


それは指揮官も同じである。



ということで、僕はいつ出動命令が振られてもいいように待機しているわけだ。




ルナは全世界に干渉している。


以前何やら大きな出来事──非人道的実験が明るみに出たらしい──があり、ルナは一度本部が壊滅している。


それに加えてルナの所有していたAI(人工知能)が勝手に動き出し、世界的テロを起こした。


けれど表社会、そして裏と表を繋ぐ戦闘特化型組織"蜘蛛"がそれの責任を言及した。


そうしてルナはその二つに監視されながら、責任を持って裏の統一をはかって動いた。



と、なっているらしい。


僕はその頃を知らない。

学校行ってないし。

その頃に組織に入ったわけでもないから、当事者でもない。


今では教科書でもテレビでもやっているが、裏の世界なんて当事者しか真実を知るわけない。



なぜなら表社会になんて、言えない、隠さなければならないことばかりだから。

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