第2話

「はぁーあ。木田さんに知らないことあるわけないのに。なぁんで僕に教えてくれないのさ」


「俺をなんだと思ってんだよ。お前の便利ポケットじゃねぇんだわ」


「だって絶対ルナはあの人に交渉持ちかけたはずなんだよ。援護してって。

あそこは絶対制圧に失敗するわけには行かなかった。だから交渉があったのは事実でしょ。

だったら木田さんの耳に入ってないわけないじゃん」


「だぁから、知らねぇって言ってんだろ。

だいたい会ってどうするんだよ」


「そんなの決まってる」



僕はうっとりとした瞳でまた彼を思い出す。

だって、僕は彼に。



「一目惚れしたんだ」


「……は?」



一目惚れだった。


戦場で、暗闇で、

あの漆黒は紛れることなく輝いてさえいた。


美しかった。


そんなふうに魅せられたら。



「戦闘狂のお前が?一目惚れ?」


「そう。一目惚れ。…だからさ」



あぁ、早く。




あいたいなぁ」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る