拝読しました！　誰もが自分や他の誰かの幸せを願う中で、それら願いが歪にかけ合わさって最悪の結末に導かれていく道程が悲しい作品でした…。

隊長さんや伍長さんはもちろん、スーちゃんも、そしてエランくんも決して誰かの破滅を願ったわけではなく、ただただ自らの望みに真っ直ぐ手を伸ばしただけなんですよね…「そうとしか生きられなかった」、ただボタンを掛け違えてその間違いが最後まで正されなかっただけで、言うなれば彼らが彼らとして生まれた時からこの悲劇が予見されていた。

そういう捻れた運命を見事な筆力で描かれていて、唸ってしまいました。

戦争、と言う特殊な条件下で生まれ、まみえなかったら、彼らにはもっと違った結末があったのかもしれないなと思うととても悲しくなります。カロさんの描く絶望や人間の「欲」の描写の鋭さが相変わらず凄まじい作品でした。