第2話朝の騒々しい友人

 翌日の5月21日の金曜日、起床しリビングに下りると、父親の姿はいつものようにない。

 乱れた寝癖の付いた髪を掻きながら、ダイニングテーブルに載ったメモ帳の紙を手に取る。

『言ったとおりに、今日は早く帰ってきてくれな』

 父親の下手な文字がメモ帳の紙におどっていた。

 キッチンで食パンをトースターで薄く焦げ目が付く程焼き、ハムとレタスをみみを削いだ食パンに載せ、落ちないように折って口へと運ぶ私。

 食パンを咀嚼しながら、フライパンで卵焼きを手早く作る。

 私は見栄えの悪い卵焼きを皿に移し、卵焼きも口へと運ぶ。

 私が朝食を摂り終えたタイミングでスマホがSNSのアプリのメッセージの通知を知らせた。

 ダイニングテーブルに歩いていき、スマホを掴み、確認した。

『れいちゃん、放課後カラオケ行こ!』

『雛乃ちゃん、今日の放課後は予定あって無理なんだ。また次の機会に誘って!』

『りょ〜!登校したら、水着をいつ買いに行くか決めよ〜』

『うん、わかったよ〜!』

 垣内からのメッセージに返信して、支度に取り掛かろうと自室に戻る私。


 7時40分になると、玄関に向かって、自宅を出て登校する。


 通う高校の敷地内に到着し、駐輪場で自転車を降り、鍵で施錠をして、昇降口へと歩いていく。

 生徒らで混み合う昇降口までの舗装されたアスファルトの道を歩いていると、背後から挨拶をされ、肩を叩かれた。

 隣に来たのは三国山恭香だった。

「おはよ〜れいっ!購買の盛り盛りメンチカツバーガーの日だよぅ〜!食えるかな〜?れいは弁当?」

「おはよ、きょうちゃん。私も購買だね。そんなになの、それ?」

「れい、れいでもその発言は見逃せないよっ!タナセの盛り盛りメンチカツバーガーは絶品だよ、ここいらではねっ!タナセの惣菜を一度でも食すと他のとこの惣菜じゃ物足りなくなるくらいの美味ってもんよ!侮っちゃいかんよ、れい!分かった?」

「へ、へぇ……そうなんだ。争奪戦、頑張ってね……」

「分かってない反応っ!れいって何かと残念だよねぇー」

「残念って酷いんだけど……」

「そんなことよりさぁ、ビキニってどういうタイプの買うか決めてる?」

「まだぁー。きょうちゃんこそ、どうなん?」

「おーしえないっ!」


 三国山が駆け出し、昇降口に突っ込んでいった。


 私は呆れながら、三国山を追いかけ、昇降口へと進む。

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