自由と手錠

甘灯

自由と手錠

 2111年、我が国に『ペアリング』という制度が導入された。


 この国に生まれ落ちた瞬間、全国民は産みの親から引き離されて、等しくふるいにかけられる。

 選別されて、それからの死ぬまでの人生すべてを、超人工知能の【ゼウス】によって管理される。


 『ペアリング』

 それは唯一、当人同士が決められる結婚という『自由』の尊厳を、【ゼウスかれ】に奪われる行為を意味していた。


 それが導入された最初の年、『ペアリング1世』として名づけられて生まれた子供たちは『選別』を終えて、個人の識別コードとは別の新たな識別コードを手首の内側に組み込まれた。


 結婚が認められる年齢になると、その新たな識別コード、通称『リングコード』はやっとその意味を成すことになる。


 そして今現在『ペアリング1世』はついに結婚の適齢期を迎えようとしていた。





『これ、まるで運命の赤い糸みたいだね』


 クラスメイトの女子が、自身の手首の『リングコード』を愛しげに撫でながら言った。


『…運命の赤い糸?』


 行儀悪く机に座った拓海たくみは、その言葉を小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。


『【ゼウス】が決めた相手だぞ?元は人間が作った人工知能なのに、今じゃ創造主おれたちが逆に奴の掌で踊らされてる』


 なんと皮肉な話だろうか。笑わないとやってられない。


 毎日推奨された起床時間に起きて、アンドロイドが運んできたプレートに乗った味気ない固形の食事を食べる。不足した栄養素はサプリメントで補わされる。体重管理は過去の水準データを基に定められていて、その条件を満たさなければ『休息時間』に運動を組み込まれるか、強制的に入院されられる。

 進路は決められて、ゼウスが選んだ適性の職業に就き、勤務時間が終われば有無を言わず自宅に送還される。

 寝る時間さえ、自分では決められない。

 

 生活、いや人生そのものをコンピューターによって決められている。

 窮屈であるが、その恩恵でこの国の国民たちの寿命は飛躍的に伸びた。

 国内街中まちじゅうの至る所にカメラが配置されていて、犯罪件数も激減していた。 

 職業難で仕事にあぶれる人間が居ないように、ゼウスは徹底的に調整している。

 

『未来への不安や心配が一切ない』


 自由の代価と引き換えに、この国は人工知能に全国民の人生を委ねて『理想の国家』を創り上げた。


 まさに決められて、敷かれたレールの上を走るだけの人生だ。

 いくら綺麗事を並べようとも、所詮は家畜と同じだ。

 それが血が通った肉親・・や人間ではなく、機械によって決められるのだから尚更笑える。

 

(まぁ、本当の親の顔・・・は知らないけどな)


 拓海は心の中でそう吐き捨てた。


『そうだね…でもそのお陰で私達は争いをすることはなくなったよ。この国の犯罪件数は今10%以下を保っている。他国からしたら脅威の数値だよ。乗り物も完全自動運転だから、人間が居眠り運転とか飲酒運転で事故を起こさなくなった。確かに住みずらいけど…今のままでも幸せなこともあるよ』


 拓海の不満に満ちた顔を見ながら、瑠莉るりは穏やかに諭すように答える。

拓海はそんな側にいると安らぎを与えてくれる瑠莉の『穏やかさ』が大好きだった。

しかしその思考は、ゼウスが望む『穏やかさ・・・・』でもある。


 だから拓海は瑠莉にたまに辛く当たるような反抗的な態度を取ってしまっていた。






『“これは一体誰に繋がっているのかな…?”』





 拓海はかつて瑠莉が言っていた言葉を思い出しつつ、向い合わせでテーブルに座っている女性を見た。

目の前にいるのは瑠莉ではなく、拓海が初めて会った女だった。


(ああ…わかっていたさ。俺と彼女は不釣り合いだからな)


 愛嬌のある瑠莉と顔は良くっても性格の悪い拓海。


 分かっていた。

しかし心の中でどこか淡い期待していた自分が居た。

拓海はそんな自分自身をひどく嘲笑あざわった。


「はじめまして、由羅ゆらです」


 由羅と名乗った女は、ニコリとするわけでもなく淡々と名乗った。

襟のある白いワンピースに、紺色のカーディガンを羽織っている。

癖のまったく無い長い黒髪を背中に流し、縁無しの眼鏡をかけた由羅は美人だか、一切の隙もなく神経質そうに見えた。

 拓海が好きな瑠莉と全く正反対の女だった。


 (電脳の癖に、まるで人間のような嫌味のセンスがあるな……)


 拓海はそう思った。


「…俺は拓海だ」


 拓海もまた由羅に素っ気なく挨拶を交わす。


 拓海と由羅は色は違えど、リングコードは全く一致している。

 互いに目の前にいる相手が、ゼウスが導き出した運命の相手だ。


「宜しくお願い致します」


「ああ、宜しく」


 由羅に素っ気なく返すと、拓海はコーヒーに口をつけた。


「拓海さん」


「ん?」


「では、これから同居しましょう」


 由羅からいきなりそう提案されて、拓海は思わずコーヒーを吹きこぼした。

 白いシャツがコーヒーのシミで台無しだ。しかしアンドロイドに決めさせた服なので拓海はどうでもよかった。


「…………同居?」


 どうでもよくない話はこっちの方だ。

 拓海は意表を突かれて、思考が追い付かずに由羅の言葉をただ返した。


「ええ。遅かれ早かれ、結婚するのですから…早い方が互いに色々知って都合が良いでしょう?」


 由羅の言葉はもっともだ。

 

 いずれにせよ、選別された時に伴侶はもう決められていた。

 その時期は明確にされていないが、結婚するという前提はくつがえせない。


ーそれがゼウスの意思で、ゼウスの管理化にいる者の定めだ。


 政府は他国にも【ゼウス】の導入を呼びかけている。

そのため最終形態に移行したこの国と、新人類と銘打つ「ペアリング1世」に世界は注目していた。


これはあくまで試験的な段階であり、彼らの行動によって世界の命運が変わるとも言われていた。






   ◇◇◇◇   ◇◇◇◇





 同居を開始して一日目。

契約したばかりのマンションの一室で、拓海たくみは目の前の光景に驚いた。


「手料理…?」

 

 拓海は驚きながら、由羅ゆらに思わず尋ねた。


「はい。肉じゃがです」


 由羅は眼鏡のブリッジを押し上げながら、勝ち誇ったかのように言った。 


 拓海は今までアンドロイドが出してくる料理しか口にしたことがなかった。

 ほぼ宇宙食のような見た目で味気もない固形物ばかり。

 育ての親も家事で手が荒れたことがなかったほど、料理も何もかもアンドロイドに任せきりだった。


「料理できたのか……」


「私は多少の融通が利くので、これくらいは許されているんです」


 由羅は理系のずば抜けた頭脳の持ち主だ。

だからエンジニアの職に就いている。

しかもゼウスのメンテナンスも請け負ってもいた。


 ゼウスは自分でメンテナンスすることも可能だ。

しかし造った人間がやらないといけないシステムもあった。


「料理は好きです。調味料の配合で味の良し悪しが決まります。まるで化学反応のようで好きです。少しの分量の違いで微妙な味の違いが生まれる。それだけではなく、土の質、成長過程での気候や育てられた環境でも違いが出ます。そして、これらすべて同じ条件、収穫が同時期だとしても、一つ一つの野菜の状態はまったく異なる。なので見た目、色艶、食感、味に多少の変化があるのです。ですから全く同じ味を再現することは不可能に近いのです。まさに一期一会と言えます」


「…なるほど」


 機械じみた冷たい女と思っていた由羅が、滔々とうとうと熱く語っている姿が意外過ぎて、拓海は呆気にとられた。


(由羅は、意外と人間味があるんだな)


 拓海は由羅に少しだけ親近感が湧いた。


「時に…拓海さんは『休息時間』は何をして過ごされているのですか?」


 『休息時間』とは、要は仕事のない休日の事だ。

 その時間だけ国民は自分の好きなことをすることが出来た。


「俺…?…そうだな…写真を撮ること、だな」


「どんなものを撮っているのですか?」


「…仕事では人間。趣味では景色だな…特に海を撮るのが好きだ」


 ぶっきらぼうな返答でも、由羅は真剣に聞いていた。


「部屋に、ご自分の撮った写真は飾らないのですか?」


 既に二人の荷物は新居に運び終えている。電化製品や大きな家具も置いている状況だ。

由羅は拓海の部屋に入った時のことを思い出して、写真が一枚もなかったことが気になっていた。


「ああ……いや、端末のフォルダに保存しているから、見たい時に開いて見ている…」


 矢継ぎ早に質問してくる由羅に、拓海はタジタジになる。


「…あ、すみません。色々と聞きすぎましたね」


「別に構わないが…面白い話は何もないぞ」


「そんなことはありません。私はカメラには詳しくないので、拓海さんの話は実に興味深いです」


 そう言って由羅は初めて微笑みを浮かべた。

 控えめながら、優しい笑み。


 拓海は見てはいけないものでも見たように、視線を落とした。

そしてわざとらしく空咳をすると、味の染みこんだジャガイモを口に入れた。





   ◇◇◇◇   ◇◇◇◇






 それから3ヶ月。


 全国ニュースで『ペアリング1世の結婚』の話題が薄れてきた頃だった。


「…拓海さんはパンドラの箱を知ってますか?」


 由羅が急に尋ねてきた。


「…確か…ゼウスが地上に送った贈り物のことだったな…それで…………」


 風景の写真集を見ていた拓海は、天井を仰きながら答えた。


「正しくは『パンドラ』は人間の女性の名前であって、『箱』の名前ではありません」


「そうなのか…」


 知らなかった拓海は隣りに座った由羅を、思わず見た。


「ええ、ちなみにパンドラという名は『すべての贈り物』と言う意味らしいです。……ゼウスから箱を受け取ってしまったパンドラは好奇心に負けてしまい…言いつけを破って不用意に…その禁忌きんきの箱を開けてしまった」


「………」


 由羅の少し熱を込めた言葉に、拓海は静かに聞き入る。


「そうして、世界中に大きな災厄がばら撒かれたのです」


「……ゼウスはなんで、その箱をパンドラにあげたんだ?」


「プロメテウスという知恵の神が天界の火を人間に与えたのです。それに対してゼウスは激怒した。鍛冶の神にパンドラを作らせて、プロメテウスの弟の元に彼女を遣わせたのです」


 ふとした拓海の疑問に、由羅は淡々と答える。

 

「ゼウスから何も・・受け取るなとプロメテウスはその弟にきつく言い聞かせました。…しかし彼はパンドラ・・・・を受け取ってしまった」


「ああ…!まさか『パンドラ人間を受け取るな』とは思わないよな」


「ええ。そして、おそらくパンドラは作られた時から箱を開けるように脳にインプットされていたのでしょうね」


「………なるほどな。まるで今の俺達のようだな」


 拓海はわらう。

 由羅は少し悲しげに頷いた。


「…そうですね」


 


 ゼウスに管理させて、奴の手の上で踊らされる自分たちは『パンドラ』と同じだ。




「…で、そのパンドラの箱がどうしたんだ?」


「どうだと言うわけではないです。ただ知っているのか知りたかっただけで…」


 由羅のその受け答えに、拓海の中で言いえぬ違和感があった。

今まで由羅は物事を明確にしない、曖昧なことを言ったことはなかった。


ー…何か意図があって聞く


それが拓海のよく知る由羅だ。






   ◇◇◇◇   ◇◇◇◇





 ある晴れた休息時間に、拓海たくみ由羅ゆらと海岸沿いに遊びに来ていた。


 拓海は海に向かってカメラのレンズを向けている。

その一方で由羅は砂浜の波打ち際で、足元の澄んだ海面を見ていた。

ふっとその素足に、波にさらわれた薄紅色の桜貝が乗った。

 穏やかな波でも、またさらわれて、海中に引き込まれてしまいそうなほど、小さな存在。

 思わず由羅は桜貝をすくい上げた。


『カシャリ』


 拓海はその光景を自身のカメラに収めた。


「……え?」 


 由羅は驚いた顔をした。

先ほどまで海を撮っていた拓海が、いつの間にか自分にレンズを向けていたのだ。


「…『趣味で人物は撮らない』のでは、なかったのですか?」


 少し怒ったような由羅の顔に、拓海は笑う。


「撮りたくなった」


「…一言いってください。こんな潮風で乱れた髪の姿で…撮られたくありません」


「悪い……その自然体の素朴さがいいんだけどな」


 拓海は本当にそう思って呟いた。


(せっかくだから、現像してリビングに飾ってやるかな)


 由羅はふくれっ面をして、自分に抗議してくるだろうか?

そう思うと拓海の顔は自然と笑みが浮かんだ。





「ーあれ、拓海君?」


 背後から懐かしい女性の声が、波の音に混じって聞こえた。


瑠莉るり…」


振り向いた拓海は大人びた瑠莉を見て、思わず目を見張る。


「拓海さん…?」


 由羅に名を呼ばれて、拓海は振り返った。


「ああ……同級生だった瑠莉だ」


 そう紹介すると由羅は礼儀正しく頭を下げた。


「はじめまして、由羅です」


「こんにちは」


 瑠莉もまた昔と分からない屈託のない笑顔で挨拶を返した。


「…一人なのか?」


 拓海は周りを見渡しながら瑠莉に尋ねた。


「うん…パートナーの人は仕事なんだ」


「…そうか」






 拓海は瑠莉と少し話をすることにした。

打ち上げられて横たわった流木に二人は腰を下ろす。

由羅は、二人に気を遣って『席を外す』と言った。

そんな彼女に対して、後ろ髪を引かれる思いだった拓海は、何度も由羅が消えていった方を見る。

 その様子を見て、瑠莉は微笑む。


「拓海君、幸せそうでよかった」


「そう…見えるか…?」


 拓海は首を傾げた。


「うん…拓海君…この世界を呪っているみたいに生きてたから」


 その言葉に拓海は当時を思い出して「そうだな」と小さく頷いた。


「私、昔にこんな世界でも幸せがあるって言ったけど…そうでもないね」


「何かあったのか?」


 拓海の気遣う言葉に、瑠莉は急に泣き出した。

どうすればいいのかと戸惑う拓海の胸に、瑠莉は縋りついた。



 その様子を遠くから見届けた由羅は、前もって用意していた黒塗りの車に乗って、とある場所に向かった。

 




   ◇◇◇◇   ◇◇◇◇





 扉を顔パスで通過して、由羅はとあるプログラム室に入った。


 慣れた手つきでキーボードを叩く。

目の前に白いワンピースを着た女の子のホログラムが映し出される。

 

 女の子は大きなリボンをつけた箱を抱えている。


「ゼウス…私からのプレゼントよ」


 由羅は慈悲の欠片もなく冷たく言い放つと、キーボタンを静かに押した。

途端に宙に投影していた沢山の画面が、一斉に赤い文字で埋め尽くされる。

 異常を知らせる警報の音を聞きながら、由羅はその場から立ち去った。







            ・

            ・

            ・  






 超人工知能【ゼウス】の消滅。

それは神を失った世界のようで、わが国は壊滅的な事態に陥った。


コア』を失い、中枢から末端へすべてのコンピューターがダウンした。


ー…人による、超人工知能ゼウスへの……抑圧された不満に対する報復か?


 他国は今回の事件をそう書き立てていた。


 まさに外部との回線を断たれた自国民はその事実を知る術はない。


 復興の見込みの目途めどは立っていない状態で、まさに『この国』は混沌としていた。


 しかし、人々はどこかホッとしていた。


「俺達は『自由』だ」


 誰かが、かつて【ゼウス】が居た【空中都市】に向かってそう呟いた。





   ◇◇◇◇   ◇◇◇◇





 由羅ゆらは護送車で、政府が管轄する特別拘置所に送還されるところだった。


拓海たくみさん、これで好きな人と一緒になれるわね」 


 由羅は満たされた気持ちで、手錠をされた自身の手首を見つめる。

拓海とつがいの証であったリングコードはその意味を失っていた。

 

ー分かっている。


 それでも由羅は思わず、自身の手首をそっと指でなぞった。






 突如、道路に若い男が立ちはだかった。

男は護送車のフロンドガラスめがけで、銃を連射する。

防弾ガラスで弾の貫通をまぬがれたが、フロントガラスには大きな亀裂が走った。

 運転手は思わず、ハンドルを大きく左に回した。

火花を散らしながら、車体はガードレールに強く打ち付けられて、徐々に減速する。

 

 


 大きな衝撃が車内に走った。


 護送車は何かにぶつかったらしく、止まった。

その衝撃のせいで眼鏡は落ちて、由羅自身はひどい眩暈を起こした。

歪んだ後部席のドアを、外から何者かがバールでこじ開けようとしている。

ぼやけた視界でそれを見た、由羅は思わず身構えた。

 

 軋みながらいびつに曲がったドアが開く。


「由羅」


 拓海が由羅に向かって、手を差し伸べてきた。


「…………拓海さん…どうして…?」


 由羅は震えた声で彼の名を呼んだ。


「どうして?婚約者を助けるのは当たり前だろ」


 拓海は心外だと言いたげに、思わず顔をしかめた。


「え、でも…もうリングコードは意味を失いました。…だから…拓海さんはもう好きな人と結婚が出来るんですよ?」


「ああ…だから・・・迎えに来たんだろう」


 由羅の戸惑った顔に拓海は笑った。


「私…重罪を犯しました。…だから貴方と一緒にはもう居られない」


「重罪?俺にとってはお前は救いの女神だけどな」


 あまりに自分らしくない気障きざな言葉だと拓海は思った。

 きっとこれから先、この言葉を思い出して『この時の俺はどうかしていたな』と自問自答するのだろう。


(まぁ、いいけどな)


 その傍らで、由羅はきっと笑って聞いてくれる。


 なかなか車から降りない由羅を、拓海は強引に引き寄せて地面に下ろした。


「それに、もしもお前が捕まる時は…俺もその手錠を一緒に嵌めてやる」


 由羅の手首に嵌められた、衝撃で片方が外れた手錠を見やりながら、拓海はそう力強く約束した。

 由羅は泣きそうになって俯く。


「…まぁ、しかしこんな状況だ。誰も俺達を気に留めるやつはいないだろうけどな」


 拓海は向かい合わせで立ち尽くす由羅の背中に手をまわして、そっと胸元に引き寄せる。

 その胸に顔を押し当てた由羅は、拓海の背中に手を回した。

 

 由羅に抱きしめ返された拓海は愛しい気持ちで心が満たされる。

 


 


 辺りの状況は混沌としていた。

 交通機関は完全に機能を失い、少し先の道路を見ると、渋滞した車が長い列を作っていた。

 

 まるでレールのように長い長い列は、この国を脱出するための【ゲート】に続いている。


「なんか、こんな神話のシーンなかったか?」


 そんなことを言いながら、拓海は泣き止んだ由羅の手をしっかりと握りしめた。


「あ、もしかしたら……」


 由羅のその後に続く言葉に、拓海は耳を傾ける。

 

 そして、二人はゆっくりと歩き始めた。


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