ヒロイン
赤茶の壁が特徴の外国の学校みたいな外観、
ゲームの初見でこの学校の絵が出た時
「こんなん日本にあるかい!」
と思わずツッコんだのが懐かしい。
中高一貫校であり国内最大のマンモス校。
故に広すぎる敷地を持ち、
様々な分野の著名人を多く輩出している。
もう数え切れないほどゲームをプレイしたし、漫画だって何度も読み直したため
そのナレーションが脳に染み付いている。
無意識に脳内で流れるくらいには一言一句間違えずに暗記もしている。
九割が中学からの進学組で
ヒロインの
そして私は
「父さんの転勤で受験させて悪かったね。
こっちで友達が出来るといいけど」
「亜子は良い子だからすぐ友達できるわよ〜!
ね?亜子」
「うっす……頑張るっす……」
外部受験組らしい。どうしよう。
私自身人見知りはとても激しいし、ヒロインならともかく普通のモブに友達が出来るだろうか。
でも、私には重大な任務がある。
何としてでもヒロインと仲良くなること。
ヒロインの近くで惚気を聞く係やりたい。
あわよくば結婚式を親友ポジションで招待されたい。
私推しカプの為ならなんでもやるよ?親友ポジションに居座って親友代表スピーチも余興もしたい。
でも今の状況は五分五分だ。
あのヒロインがモブに冷たい態度取るわけが無いから友達にはなれそう、でも親友は厳しそう
もしくは
モブすぎて友達ポジションにすらなれず
ヒロインの中でただのクラスメイトになるかの二択だ。
前者がいい、本当になんでもするから前者にしてください。神様。
ていうか死んで大好きな世界に転生したんだからそれくらい夢見させろ!
なんて脳内で神様に噛み付いていたのがほんの数分前。
生徒と両親は別行動のため、親とは一旦離れて
生徒会役員について行き、クラス分けの張り紙がある場所に辿り着いた。
鈴木亜子、鈴木亜子……
一年Aクラスに自分の名前を確認し、他クラスの紙を見るとIクラスまであって面食らった。
マンモス校にしたって人が多い。
これに特進コースは特進コースでAクラスから順にあるわけだから、と思うと目眩がする人の多さだ。
そういやAクラスって……
と思った瞬間、隣からローズブラウン色の髪が視界に入った。
緩く巻かれたボブカットの髪、耳元にステンドガラス風のピンクの薔薇を模した髪飾りが付いていて、
きっちり校則を遵守した制服、ぱっちりした目に高揚としてほんのり色付いた頬
櫻井琴歌ちゃんだ。
え、生きてる……目の前にいる……本物……。
ぐっと湧き上がる涙を抑えつつ、目はずっと外せない。
絶対私が幸せにしようと決めた女の子…。
私の視線を感じたのか、琴歌ちゃんはこちらを見てしっかりと目が合った。
「あっ、ごめんなさい!見れなかったですか?
すぐ避けます!」
「……へ、あっ、あの、違います!
えっと……あの……。
あ!私、外部受験組なので人多いなぁって既にちょっと疲れちゃって!」
やばい、喋っちゃったよ…!
浮かれて頭がふわふわしてるからもはや何を口走ったのか分かってない。
変なこと言ってないと思いたい。
と思っていると
「私も外部受験なの!
何クラス?一緒に行かない?」
目の前にいる彼女は本当に女神様なのだろうか?
何度も首を縦に振りながら
「私、Aクラスの鈴木亜子…!よ、よろしく!」
「私もAクラスだよ〜!櫻井琴歌です!
よろしくね〜!」
じゃあ行こっか、と手を引かれ
手を繋いじゃった!と舞い上がる心を無理やり抑えつけ、
入学式前はイベント何も無かったなと思いながら
二人でAクラスへと向かった。
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