第32話 何もしない勇気
現代の生活は、常に何かをしていなければならないように感じることが多い。仕事、家事、趣味、学び。やるべきことや目標が次から次へと押し寄せ、気がつけば、一日の終わりには「まだ足りない」と自分を責めている。だけど最近、「何もしない」時間の大切さに気づき始めた。
「何もしない」というのは、ただ時間を無駄にすることではない。むしろ、それは心と体を休めるための、必要なリセットの時間だと思う。何かを成し遂げようとするプレッシャーから解放されることで、ふっと肩の力が抜けて、自分が今どこにいるのかを確認する余裕が生まれる。
何もしない時間は、最初は少し居心地が悪く感じるかもしれない。「この時間を何かに使わなければ」「もっと有意義に過ごすべきじゃないか」と、心の中で焦りが生まれることもある。でも、あえてその焦りを受け入れ、何もせずにぼんやり過ごしてみると、不思議と心が軽くなっていく。
例えば、窓の外を眺めながら、ただ雲の動きを追ってみる。カフェで何もせずにコーヒーの香りを楽しむ。そんなささやかな瞬間が、心の中に小さな余白を作ってくれる。その余白があるからこそ、新しいアイデアや気づきが生まれたり、自分自身を見つめ直したりできるのだと思う。
「何もしない」時間を持つことは、実はとても勇気のいることだ。忙しさを誇る現代社会の中では、何かをし続けていることが美徳のように感じられるからだ。でも、何もしないことで得られる心の静けさや、余計な負担から解放される感覚は、何物にも代えがたい。
今日も、何もしない時間を少しだけ持とうと思う。その時間が、自分自身をリセットし、また新しい気持ちで次の日を迎えるためのエネルギーになると信じている。何もせずに過ごすことが、心を整えるための大切なひとときになるはずだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます