前のエピソード――第15話　無理しない勇気

世の中には、常に「もっと早く」「もっと効率よく」といった価値観があふれている。私もその流れに乗ろうとしたことが何度もあったけれど、結局、どれも無理をしているだけだった。焦りやプレッシャーに追い立てられ、心が擦り減るばかりで、心地よさとは程遠かった。

自分のペースを大切にするのは、時に勇気がいる。周りと比べて「遅れている」と感じると、自分が取り残されているように思えて不安になってしまうからだ。でも、自分の心と体が本当に望んでいるのは、周りに合わせて焦ることではなく、自分のリズムで日々を過ごすことだと気づいた。

「自分のペースで生きる」ことを意識すると、心に少し余裕が生まれる。たとえば、他人のスピードや成果に目を向けるのではなく、今日できた小さなことに目を向けるようにしてみる。そうすることで、自分なりの達成感や満足感を感じられるようになり、心が少しずつ穏やかになっていく。

もちろん、まだ周りと自分を比べてしまうこともある。特に、他の人が次々と目標を達成していくのを見ると、つい「私ももっと頑張らなきゃ」と焦ってしまう。でも、そんな時こそ立ち止まり、自分のペースに戻ることが大切だと思う。そうやって、他人のリズムではなく、自分のリズムで進むことが、長く穏やかに生きるための鍵なのだと感じる。

周りに流されるのではなく、自分にとって心地よいペースを見つける。それは、焦らずに歩んでいくことで見つかるものだと思う。たとえ一歩が小さくても、確実に進んでいることを信じて、自分らしいリズムで生きていけたらいい。

今日は、周りと比べずに、自分のペースで一日を大切に過ごしていこうと思う。どんなに小さな一歩でも、それが私にとっての前進であり、これからの自分を支える基盤になっていくと信じて。