第10話 不安との共存

不安は、いつもどこかに存在している。消えてほしいと願いながらも、不安が完全に消えることはなく、むしろその存在を受け入れながら生きていかなければならないと感じることが多い。まるで、影のように寄り添ってくる不安。逃げようとしても、ふと気づけばまたそこにいる。


不安が強くなると、普段は気にしない些細なことも過剰に考えてしまう。「大丈夫かな?」「何か間違えていないだろうか?」といった小さな疑念が頭の中をぐるぐると回り、心が休まる暇がない。気づけば、想像の中で最悪のシナリオまで描いてしまっていることもある。現実には起こり得ないことかもしれないとわかっていても、不安はその理屈を超えて、私を追い詰めてくる。


こうして、不安と共に生きる日々は、まるで毎日が小さな戦いのようだ。気にしないで過ごせればどんなに楽かと思うけれど、それができないからこそ不安に悩んでいる自分がいる。不安が襲ってくるたびに、「この不安が消える日は来るのだろうか?」と自問してしまう。


最近は、むしろ不安を「敵」として捉えずに、「共存するもの」として見てみようと思うようになった。不安が完全に消え去ることは難しいならば、無理に消そうとするのではなく、少し距離を置いて、不安がそこにいても気にしすぎない自分でありたいと願っている。簡単なことではないし、不安が急にやってくると、やはり揺らいでしまうことも多い。でも、少しずつ慣れていくことができればと思っている。


不安があるからこそ、慎重になれる面もある。不安があるからこそ、自分や他人を守ろうとする気持ちも芽生える。不安そのものを悪とせず、必要な面もあると受け入れることで、少しでもその影響を和らげられるのではないかと思うのだ。


今日も不安はそこにいるかもしれない。でも、その存在を否定せず、自分のペースで付き合っていく。共存することで、少しずつ心が楽になっていくことを信じて、歩んでいこうと思う。不安がある日常もまた、自分らしい生き方の一部だと感じられるようになる日を目指して。

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