前のエピソード――第7話　一時的なやすらぎ

人より少し敏感であるということは、良い面もあれば、そうでない面もある。美しいものにすぐ気づけたり、微妙なニュアンスを感じ取れたりすることは、敏感であるからこそ得られる素敵な瞬間だ。でも、反対に、些細な音や光、人の気配にまで反応してしまい、疲れてしまうことも多い。

特に、街中や人が多い場所にいると、それが顕著になる。すれ違う人々の会話、遠くで響く車のクラクション、どこかから流れてくる音楽。すべてが自分に向かって押し寄せてくるようで、頭の中がいっぱいになってしまう。心を閉ざして、その音や感覚を遮断できればいいのに、それがどうしてもできない自分に、少しばかり苛立ちを感じることもある。

敏感であるがゆえに、人と話している時も、相手の表情や声のトーンにすぐに気づいてしまう。「今、何か嫌なことを思っているのかな」「少し困っているのかも」そんな風に考えてしまうと、会話の内容よりも相手の感情に引きずられてしまうことがある。それが相手にとって悪いことではないとわかっていても、自分の心がどうしても反応してしまうのだ。

この敏感さが、疲れの原因になることも少なくない。家に帰って、ようやく一人きりになれた時に、どっと疲れが押し寄せてくる。人との関わりが嫌いなわけではないし、むしろ好きだと感じることもある。でも、敏感であることで疲れてしまうのは、やはり避けられないのだろう。

それでも、この敏感さを自分の一部として受け入れたいと思っている。良い面も悪い面も含めて、自分の感覚を否定しないようにしたい。疲れた時は無理をせずに休む。自分のペースで、心が穏やかになれる時間を見つけていく。たとえすべての音や感情に敏感に反応してしまっても、それが自分の個性であるなら、少しでも心地よく生きられる方法を見つけていきたい。

敏感であることがしんどく感じる日もあるけれど、だからこそ感じ取れる美しさや優しさもある。敏感な自分に少しでも優しくなれるように、今日も自分の感覚に耳を傾けながら、穏やかな時間を探していこうと思う。