第6話 誰にも言えない悩み

悩みを抱える時、誰かに話せたら少し楽になるのだろうか、と考えることがある。でも実際には、なかなかそれができない。心配事や不安を誰かに打ち明けるのが苦手で、どうしても自分の中に閉じ込めてしまう癖がある。


話すことができない理由はいくつかある。ひとつは、自分の悩みが他の人にとっては取るに足らないものに思えるからだ。「そんなこと気にしなくてもいいのに」と言われてしまうのが怖いし、自分でも「どうしてこんなに気にしてしまうんだろう」と情けなくなる。だから、言葉にするのがためらわれて、結局自分の中で抱え込んでしまう。


もうひとつの理由は、心配事を口にすると、それが現実味を帯びてしまうような気がするから。言葉にすると、それが本当に問題になるようで怖い。だから、心の中で何とか整理しようと試みるのだけれど、考えれば考えるほど、不安は大きくなってしまうことが多い。


それでも、抱え込みすぎるとしんどくなる。頭の中がいっぱいになって、何も考えられなくなってしまう時もある。そんな時は、紙に書き出してみることがある。言葉にするのは苦手でも、紙に向かって思いのままに書き出すと、少し心が軽くなる気がする。誰かに伝えるわけではなくても、自分の中で整理するための小さな手段だ。


悩みを打ち明けられる人がいることは、とても幸せなことだと思う。でも、今の私にはまだその壁が高くて、乗り越えるのが難しい。それでも、少しずつその壁を低くするために、小さな努力を続けている。誰かに話せる日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。でも、無理をせずに自分のペースで進んでいけたら、それでいいと思う。


悩みを抱え込みながらも、少しずつでも心が軽くなるように。今日もまた、静かに、自分の気持ちと向き合いながら進んでいこうと思う。

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