第5話 感情の振り幅

自分の感情が、時に激しく揺れ動くことがある。ある時は、ほんの些細なことで心が温かくなるのに、また別の日には、同じことが全く心に響かなかったり、逆に苛立ちを覚えたりする。まるで感情が大きな振り子のように、どちらにも大きく揺れ動いてしまう。


とても穏やかに過ごせる日もあれば、ちょっとしたことで心が乱される日もある。人と話している時に、何かがきっかけで急に心が冷たくなる感覚を覚えることがある。相手が悪いわけではなく、ただ自分の中で何かがスイッチを押されてしまったように感じる。そんな時、自分が冷酷に見えてしまうことが怖くなるけれど、その感情を抑えるのも難しい。


逆に、不安や心配が膨らんでしまう時は、感情がどんどん重たくなっていく。未来のことや、過去にしてしまったことについて考えすぎて、頭の中がぐるぐると回り続ける。こんな日は、心が休まる瞬間がほとんどなく、どうしても気持ちが沈んでしまう。


感情の振り幅が激しいと、何が自分のトリガーになるのか予測がつかず、自分自身が振り回されているような気分になることがある。でも、その一方で、感情が動くことで得られるものも確かにある。心が動くからこそ、他人の痛みに共感できたり、美しいものに感動したりできるのだと思う。


この振り幅を少しでも穏やかにできたら楽だと思うこともあるけれど、完全に消してしまいたいわけでもない。感情が動くことは生きている証だし、その振り幅の中で、自分の心がどんな風に反応するのかを知ることも大切だと思う。だから、少しずつ自分の感情と向き合いながら、その振り幅を受け入れていきたい。


感情が大きく揺れる日は、心が疲れやすい。けれど、その振り子が少しずつでも、心のバランスを取りながら揺れていくように。そんな日を目指して、今日もまた自分と向き合っていこうと思う。

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