第3話 不安の波にのまれる時

不安は、突然やってくることもあれば、じわじわと心に忍び寄ることもある。今日は、朝からその気配を感じていた。何か具体的な理由があるわけではない。でも、心の中にじわじわと広がっていく不安があって、それが一日を支配しそうな予感がしていた。


こういう日は、何をしても頭の片隅に不安が張り付いている。仕事をしていても、テレビを見ていても、どこかでその不安が私の心を引っ張っている感じがする。まるで、気づかないうちに不安の波が近づいてきて、気づいた時にはすでに波の中にのまれているような感覚だ。


不安の波にのまれると、何をするのも億劫になってしまう。予定していたことをキャンセルしたり、家から出るのが怖くなったりする。それでも、何もしないままでいると、不安がさらに大きくなることもあって、どうすればいいのか悩んでしまう。逃げ出したくなるような気持ちになることもあるけれど、逃げても結局、不安はどこまでもついてくる。


こうした日は、ほんの少しでも気分が楽になることを探してみる。例えば、好きな音楽を聴いたり、暖かい飲み物をゆっくり味わったり。たとえ一瞬だけでも、不安の波の中から顔を出すことができれば、それで少しだけ救われる気がする。完全に不安が消えるわけではないけれど、波に完全にのまれないようにするための、小さな工夫だ。


不安の波は、私の力では止められないかもしれない。でも、その波にどう立ち向かうかは、少しずつでも自分で選べるようにしたい。たとえ今日がしんどい日でも、明日はまた違うかもしれない。そんな希望を胸に、何とか波にのまれないように、今日もまた小さな一歩を踏み出してみようと思う。

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