②1910年日本に転生しました
第1話 1910年編プロローグ
ということで、1910年に転生させられることになったわ。
さすがに15年も進められると打てる手も限られるわね。
前回は第一次世界大戦からの世界変革……第二次世界大戦だけでなく、現代にもつながりうる部分を根本から変えてしまう手が使えたけれど、今回はそれが不可能。
となると、世界を総合的に変えることは極めて困難となるわね。
もちろん、日本に居座り続けることが悪手なのは変わりがないわ。日本と世界の国力差は圧倒的なのだから、どちらを動かした方が効果的なのかはいうまでもないからね。
さて、ぶっちゃけ、この時代に転生する場合でもそれほど名家に生まれる必要はないわ。
身分に束縛されると自由な動きをしづらいからね。
まずは悠ちゃんと基本路線の話をすることになるわ。
「ということで、今回も農家と商家の三男三女に生まれただけど、前回ほどのんびり過ごしている時間はないわ。お互い学習院に行くことにするわよ」
「学習院に行くということは、昭和天皇と繋がりを持つということだね?」
悠ちゃんも大分鋭くなってきたわ。
取りうる選択肢が限られてきた状況となると、頼りになるのは大元帥たる天皇となるわね。鶴の一言で事態の打開を狙うことになるの。
もちろん、天皇に毎回出てもらうのは不可能よ。ただし、ここぞという時に決定的な一打を打ち込む必要があるわ。そのためには侍従長を含めた侍従と仲良くしなければいけない。つまり、学習院か帝大(東大)に行く必要があるということね。
「私は二歳の時から学習院、学習院と口にしていて、親も行かせる決意をしているわ」
「二歳の時から学習院って言いまくる幼児は怖いよ。親も厄介払いしたいんじゃない?」
中々の言われ方だけど、確かに怖いわね。
21世紀ならバズり目的でのやらせではないかと文句を言われるかもしれないわ。
だけど、この時代の人は素朴だから、「学習院の申し子が現れた」と言って学費を出してくれる人まで出てくれたのよ。有難いことよね。
「今回は大変だね。勝算はどのくらいあるの?」
「攻略だけなら簡単なんだけどね」
「そうなの?」
「手段を選ばずただ攻略だけなら、ね。例えば日本軍の行動は把握しているから、国民党政権に走って日本軍に連戦連勝させるのが手っ取り早いわね。国民党にも勝てないなら、アメリカと戦おうなどと思うはずがないわ」
「た、確かに……」
とはいえ、さすがにその解決策をとると、ブチ切れた女神に中国路線を禁止されて再転生させられることが目に見えているわ。
それは面倒だから、やめておく方が無難ね。
「ちなみに悠ちゃんには軍にも入ってもらうつもりよ」
「あれ、そうなんだ? それなら軍の学校に行った方がいいんじゃない?」
「学習院初等科から幼年学校にコネで行ってもらうから大丈夫よ」
「はっきりコネって宣言しちゃうんだね」
「そうよ。悠ちゃんなら学校で好成績を残すのは簡単だと思うけど、あまりこだわる必要はないわ。軍でやってもらいたいことはすぐに終わるから」
「何だかよく分からないけれど、千瑛ちゃんの言うことに従うよ」
「同時並行してやることも結構あるわ。前回は15歳までにやることは英語の勉強だけだったけど、今回は15歳前にやっておかなければいけないこともあるわ」
「子供にできることがあるかな?」
「できる範囲で、ね。その成否によってその先の未来が多少変わるかわ」
時代が切羽詰まっているから、非常に忙しいわ。
だからしっかり10時間くらい睡眠をとる必要があるわよ。
「矛盾しているように聞こえるけど、睡眠って大事なんだよね」
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