第11話

 カガネは単分子ブレードを抜き放ち、一瞬の隙をついて最初の警備兵に斬りかかった。その動きは閃光のように速く、相手が反応する前にカガネの振るった刃がスーツアーマーの隙間を切り裂いた。警備兵の一人が倒れると、他の者たちは警戒を強め、無数の銃口が一斉にカガネを狙った。


「囲んで撃て!」誰かが叫ぶと、弾丸が一斉に放たれる。


 カガネは義体に埋め込まれた高性能の回避反射システムを駆使し、飛び交う弾丸をかいくぐるように動いたが、数が多すぎる。彼の肩をかすめる弾が義体の表面に火花を散らす。


「これじゃあ持たない……」カガネは焦りを押し殺しながら、通路の端へ跳び、一時的に身を隠した。


 彼の体内で警告メッセージが点滅し、エネルギーの消耗とダメージが表示されている。だが、退くわけにはいかない。ここで立ち止まれば、二度と仇の元へは辿り着けない。


 彼は再び身を低くし、壁の陰から突進するように出た。刃を横一文字に振り、二人の警備兵を薙ぎ払う。しかし、倒したそばから新たな兵士が現れ、さらに厚く包囲網が形成される。


「お前のようなサイボーグ一人で、このメタリンクス社の防備を突破できると思うな!」背後から冷たい声が響くと同時に、カガネは電撃の衝撃を全身に受け、膝が崩れそうになる。


カガネの視界が一瞬、かすんだ。

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