8
ある夜の事だ。真澄はいつものように寝ていた。今日も疲れたな。だけど、明日も仕事だ。しっかりと寝て、明日に備えないと。
「兄ちゃん・・・」
真澄は照之の声で目を覚ました。また照之の幽霊が現れたのかな? 真澄は目を開けた。そこには照之がいる。また来たようだ。まさかまた来るとは。今度は何を言いに来たんだろうか?
「照之、どうしたんだい?」
「TOMOさんと会ったんだね」
どうやら、照之はどこかで見ていたようだ。真澄にも、TOMOにも見えていなかった。おそらく、仏壇だろうか?
「うん。なかなかいい人っぽいよ。引きこもりだけど」
引きこもりと聞いて、照之の顔が変わった。引きこもりの人だとは。こんな人がいるとテレビで聞いたが、まさかTOMOが引きこもりだったとは。メールから見るに、普通の人っぽかったが。
「そうなんだ。うーん・・・」
照之は何かを考えている。どうして引きこもりになったんだろう。
「どうしたんだい?」
「なぁ、兄ちゃん。TOMOさんと結婚しろよ!」
真澄は驚いた。まさか、結婚とは。結婚するほど仲良くなっていないのに。どうして結婚しろと言うんだろうか? この人と結婚できると思っているんだろうか?
「えっ、突然、何?」
真澄は戸惑っている。結婚なんて、考えた事がない。好きな人ができて結婚するなんて、まだまだだと思っていたが、まさかこれがきっかけだとは。
「いい人じゃん! 頑張ってみてよ」
「うーん・・・、わかったよ・・・」
照之は消えていった。真澄は呆然としていた。結婚なんて、まだまだだろう。
真澄は目を覚ました。いつもの朝だ。
「夢か・・・」
ふと、真澄は夢の内容を思い出した。結婚なんて、まだ考えるもんじゃないのに。どうして照之は結婚と言っているんだろうか? TOMOの性格でそう思ったんだろうか?
「結婚、か・・・。うーん・・・」
真澄は少し考えてしまった。TOMOは確かにいい人だ。だけど引きこもりだ。本当に結婚して、仲良くなれるんだろうか心配だ。
それからの事、真澄は機嫌がよかった。TOMOと仲良くなったからだ。これはうまくいけば結婚もあるかもしれない。だけど、まだまだ完全に仲良くなっていないだろう。
「どうしたんだい?」
突然、同僚が話しかけてきた。真澄は驚いた。どうしたんだろう。
「何でもないよ」
「恋してんじゃないの?」
同僚はにやにやしている。真澄の様子が、恋人ができたような感じだからだ。言いたくないのに、そう思われている。どうしよう。
「いやいや」
今日の仕事を終え、帰る時間になった。そろそろ家に向かおう。
「お疲れ様ですー」
「お疲れ様ですー」
真澄は最寄り駅までの道を歩いていた。真澄は機嫌がよかった。TOMOとこのまま仲が良ければ、結婚できるかもしれないな。
電車の中でも真澄は考えていた。いつ、告白しようか? 告白しても、受け入れてくれるんだろうか? 期待と不安が交錯している。今まで自分は恋などした事がないけど、うまくいくんだろうか?
真澄は実家の最寄り駅で降りた。ここから実家までは徒歩だ。辺りはすっかり暗くなっている。徐々に涼しくなってきて、秋の雰囲気になってきた。過ごしやすくなってきた。歩いているうちに、真澄は考えた。TOMOは今頃、どうしているんだろう。真澄と出会って、もっと現実と向き合うようになったんだろうか? 就職活動を頑張っているんだろうか? また会いたいな。
真澄は実家の前にやって来た。実家はいつものように迎えてくれる。徐々に照之がいない寂しさにも慣れてきた。これからは照之の分も仕事を頑張らないと。
「ただいまー」
「おかえりー」
真澄が家の中に入ると、尚子の声がする。いつもの日常だ。
真澄はすぐに2階に向かった。今日も晩ごはんまでインターネットをするつもりだ。照之が死んでから、照之の家に入る事が多くなった。それほどVtuber活動が楽しいと思われる。
真澄は2階の部屋に入った。明かりをつけても、そこに照之はいない。
「さて、今日も始めるか」
真澄はパソコンの電源をつけて、メールをチェックした。と、メールの通知がある。誰からだろう。
「あれっ、メール」
真澄はメールを開いた。TOMOからだ。どうしたんだろう。
「TOMOさんか・・・」
真澄はメールをよく見た。すると、また会いたいと書いてある。徐々にTOMOは真澄が気に入りだしたようだ。また会いたいと思ったようだ。
「また会いたい、のか・・・」
真澄は少し考えた。この前会った時の事が忘れられないのかな? もっと会いたいと思っているのかな?
「会ってみよう・・・、かな?」
真澄は会う事にした。約束の場所をメールに記載して、TOMOに送った。あとはTOMOと後日、時間を調整するだけだ。
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