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それから1ヶ月、真澄は徐々にVtuber活動に慣れてきた。そして、次第に友達が増え始めた。登録者数は右肩上がりに増えていく。見ているだけで嬉しくなる。自分、そして照之はそれだけ、みんなに愛されていたんだなと思うと、感心する。だけど、デビューを待たずして自殺してしまったと思うと、無念に思えてくる。
「さてと、始めるか」
真澄は配信を始めた。今日は雑談だ。何を話すかは決めていないけど、適当に話していこうかな? だが、詰まらなかったりしたら、離れてしまいそうでドキドキする。だけど、みんなと交流できるって事を考えたら、全く怖くない。
「すごい!けっこう集まってる!」
真澄は興奮している。こんなに人が集まってくれているとは。照之はみんなに愛されていたんだなと思いつつ、照之の想いを受け継いで頑張らなければという気持ちにもなる。
「みんなに愛されてたんだな」
その中には、照之の分も頑張って生きてほしい、照之の分もVtuber活動を頑張ってほしいというコメントが多い。
「テルさんの分も頑張ってね、か。嬉しいな」
だが、すぐに何を話そうかわからなくなった。真澄は少し考えた。自分は仕事ばっかりで、あんまり考える事などない。どうしよう。
「何を話そう・・・」
そんな中、1つのチャットを見つけた。葬式はつらかったのか、照之との別れはつらかったのかという内容だ。
「葬式はどうだったのか・・・、か・・・」
真澄は少し考えた。真澄は葬儀の内容を思い出した。みんなが照之の突然の死を悲しみ、もっと生きてほしかったと言っていた。そして、出棺の時は、みんな泣いていたな。それほど、ショックだった。どうしてこんなにも突然死ななければならないのか、目の前の光景が信じられなかった。
「つらかったな。本当に大変だったな。でもまさか、Vtuberデビューを目指していたとは」
真澄は今でも驚きを隠しきれない。パワハラで悩んでいた照之がVtuberになろうとしていたとは。きっとこの世界に居場所を求めていたんだろうな。
「そりゃあ、びっくりしたよ。でも、ここに逃げ場を求めていたのかなって。なぜならば、弟はパワハラが原因で自殺したんだから」
それを聞いた視聴者は、みんな驚いたという。こんな理由で照之が死んだとは。照之のいる現実には、もう居場所がなかったのかなと思う人もいた。
「僕もびっくりしたよ」
真澄は少し泣きそうになった。だが、いつまでも泣いてはいられない。照之の遺志を受け継ぐんだ。元気に明るく配信をするんだ。きっと天国の照之も見ているだろうから。
「確かにひどいよ。早く通報すれば大丈夫だったのに。何もできないほど精神的に追い込まれていたんだなと」
ふと、真澄は気持ちがボロボロになって帰ってきた照之の事を思い出した。
ある日、照之は下を向いて帰ってきた。毎日そんな感じだ。みんなは知っている。照之はパワハラに遭っていて、精神的に追い詰められているんだと。そんな照之を見て、家族はみんな、心配したという。
「大丈夫大丈夫」
「うーん・・・」
だが、照之は黙り込んでしまった。だが、誰も相談する人がいない。どうすればいいんだろう。
だが、そんな中には、照之本人が配信するのを見たかったという人もいた。やはり、真澄ではなく照之のほうがいいと言っている。それほど、照之が恋しいのだろう。だが、照之はもういない。照之の遺志を受け継いで、配信を頑張らないと。
「テルさんが配信するのを見たかったのか」
そんな中、どんなジャンルのゲームが好きなのかというチャットを見つけた。これも重要な質問だ。自分の好みがわかる事で、新しい友達ができるかもしれない。そして、みんなと交流する事ができるかもしれない。
「どんなゲームをするのか、か。僕は、RPGとかサバイバルゲームとかが好きだな」
しばらく待っていると、新しいチャットが出てきた。そのゲームをやりたいからしい。
「やりたいかって? やりたいね」
そりゃあ、好きなジャンルのゲームはやりたいよ。そして、チャットやみんなと一緒に遊ぶことで、みんなと交流したいよ。
それからしばらく話していると、寝る時間になってしまった。明日も仕事だ。早く寝て、明日に備えないと。
「さて、もう寝よう。明日も仕事だから。今日はお越しいただきまして、ありがとうございました。チャンネル登録、Xのフォローよろしくお願いします。それでは、ご視聴いただき、ありがとうございました。おやすみなさい」
真澄は配信を終了した。それから間もなくして、真澄はパソコンの電源を切った。隣の寝室に行き、寝よう。真澄は配信部屋の電気を消して、隣の寝室に移動した。
「さて、寝よう」
真澄は寝室に入った。と、真澄は自分の机を見た。ここ最近、隣の部屋の机しか作っておらず、あんまり使っていない。それほど、配信に熱中しているんだなと感じた。
真澄は部屋の電気を消すと、すぐにベッドに横になった。また明日も仕事を、そして配信も頑張ろう。
翌日の夜、いつものように真澄は帰ってきて、パソコンの電源をつけた。今日は配信の予定はないけど、メールはチェックしておこう。誰かからのメールが来ているかもしれないし、ネットサーフィン自体が楽しいから。
「さて、今日もやるか」
真澄はメールをチェックした。すると、メールが来ている。誰からだろう。真澄はすぐにメールをチェックした。TOMOからのメールだった。すでにモデリングを納品したのに、どうしたんだろう。
「あれっ、メールが」
真澄はそのメールを開いた。いったい何だろう。
テルの兄様、お久しぶりです
えーっと、お願いがあるのですが、テル様の遺影に手を合わせて、冥福を祈りたいんですけど、いいですか?
真澄は戸惑った。まさか、冥福を祈りたいとは。照之の事が忘れられないのかな? だけど、きっと照之も喜ぶだろうから、冥福を祈ってほしいな。
「うーん・・・、来てほしいな」
真澄は来てほしいとメールで伝える事にした。
どうも、テルの兄です
ぜひ、来てください
住所はこちらです
鷺村(さぎむら)駅で待っています
真澄は会う予定の駅を添えて記入した。真澄はメールを送り、ほっとした。これで来てくれるといいな。そして、何かを感じてほしいな。
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