第4話 孤独とイチゴパフェ
結局、カフェに行ってパフェを食べる事になった。アズチは学校を出るとリックサックのストラップから人形に戻り。カフェのある駅前に二人で向かう。
……。
「ご注文は以上ですか?」
「はい」
私達はカフェでコーヒーとイチゴパフェを注文するのであった。
その後は無言でパフェをガツガツと食べる。それは、二人でパフェを食べるなんて初めての経験だ。簡単に言えば何を話していいか分からない。
なによりパフェが美味しい。酸味の効いたイチゴに甘いクリームはほど良くマッチングして食欲をそそる。
私はパフェを食べ終わるとコーヒーをすする。こんな女子としての幸せは久しぶりだ。
「君はこのパフェを気に入ったようだけど、幸せかい?」
私は素直に静かに頷く。
よく考えるとアズチの魔力が溜まり願いが叶うならこんな好都合なことはない。しかし、余命一年だ。少しだけ残念な気分になる。
カフェからの帰り道、辺りは暗くなり。皆、帰路に急いていた。独り暮らしの私にガミガミ言う存在はない。
ふと、横に並んで歩くアズチと指先が触れる。ほんのりと温かい指先は魔女とは思えないものであった。
空を見上げると月が輝いていた。
「おっと、ゴメン、君は孤独を好むのであったね」
アズチは少し離れて歩き出す。
ふ~う……。
孤独か何時からだろ、独りで居る方が楽だと感じる様になったのは……。
ホント、アズチは心を惑わす魔女だ。
私はアズチの事が気になり、旅の話を聞くことにした。
「アズチは前にいた街は何処?」
「ふふふ、よくぞ聞いてくれた。この前は四国の田舎町だった」
その後、アズチは四国の田舎町でのことを話し出す。採りたてのトウモロコシを食べて感動したとか。誰も居ない海岸でプライベートビーチの様に泳いだとか。
この街では考えられないド田舎の話であった。
一通り聞くと私は夜空の月を眺める。
スマホを取り出して月に向かって一枚撮ろうとする。しかし、スマホのカメラ機能と月との相性は悪い。月が白い点にしか撮れないのだ。
私は月を撮るのを諦めてコンビニ寄る。
「夕食はお茶とおにぎりでいいよね?」
「ごっさんです」
そう、結局、私がお金を払うのだ。
そして、コンビニで適当に買い物をして自宅に帰る。窓から漏れる光は無く孤独の象徴であった。
私は鍵を開けて照明をつける。
この気持ちを油絵に残せたなら神の一枚が描けるかもしれない。
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