第3話 学校で勉強する必要はあるのか?
私は高校に着くと一番に行くのが美術室だ。そう、学校に行く理由は授業を受ける為ではない。美術室を使う為だ。
私は美術室にあるゴッホのひまわりの等身大のポスターを貼る。そのポスターを画材にして油絵を描き始める。同じ色を使っているのにひまわりの鮮やかさが出ない。
「君はバカであったのか?私はまだ何もしていない」
「黙っていて、私も画家を目指す一人よ」
この会話で分かると思うが神の一枚の大変さが感じられた。
そう言えば、私は余命一年であった。死後、残した絵が神の一枚であれば良い。
「ダメだ……」
私はカッターを取り出して描きかけのひまわりを切り裂く。
仕方がない、教室に行って授業でも受けるか。私は五階にある美術室から階段を下りて三階にある教室に入る。分かってはいたが授業中だ。
気にせずに一番後ろの自席に座る。机の上にはSHRで配られたと思われるプリントが置いてあった。
『ゴホン』
先生がわざとらしく咳払いをする。私は謝ることなく筆記用具を取り出して授業を受ける。
これが現実だ、孤独を好む私には何も無い。ホント、冷めた人生だ。いや、ここからだ、私は神の一枚を描いた人物として世界史に載るのだ。
午後の授業も真面目に受ける。簡単に言えば私の人生は無力感で支配されていた。いままでは、適当に勉強して大学に入りその後は分からなかった。
私は放課後、私は中庭にある木々の下にいた。上を見上げて両指で四角を作る。
この風景、残したい。私はスマホを取り出して、この一枚を撮る。
「君は常に神の一枚を探しているのだね」
魔元女のアズチの言葉に私は実感していた。そう、私のアイデンティティーは神の一枚にこだわっていた。
「ふふふ、カフェでパフェでも食べない?」
アズチは笑顔で提案してくる。俗世的な魔女だな。私が困惑していると。
「私の魔力の元は幸福の生気なの。当然、君だけでは無いが、メインは君だ」
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