第19話 お店再開
今日は、抜けるような青空の良いお天気です。
『おでん屋台いっこ』のリニューアル、おでんのお店の改装オープンです。
錆びて古びたトタン看板も新しくしました。
そして、何よりも目を引くのは、お店の入口のおでん屋台です。
赤提灯もあります。
赤提灯には、「おでん」という文字と「いっこ」という文字がはっきりと墨で書かれています。
その屋台には、大きな花輪が飾られています。
角刈りのお兄さんが、花輪の位置を調整しています。
お兄さんは、花輪から少し離れると、満足げに花輪を見上げて、言います。
「我ながら、超豪華な花輪やでぇ!」
すると、緑が丘駅の保育園の園児たちが、保母さんに連れられ、手をつないでやって来ました。
園児たちは、みんなで紙コップとお箸を持参しています。
そして、緑が丘の子供会の小学生によるリコーダー演奏が始まりました。
なんと、ロマンちゃんが、一生懸命に指揮しています。
「はいっ、次の曲はー」
と、ロマンちゃんが子供たちに指示していると、
さらに、賑やかな太鼓やクラリネットの音が聞こえてきました。
スナック奈美のママの図らいにより、サンロード商店街の組合からは、ちんどん屋さんを手配してくれています。
「少ししたら、緑が丘駅にゴーッね」
奈美さんは、そう言いながら、おでんのチラシを配り、ちんどん屋さんといっしょに練り歩いています。
チラシには、おでんの具と値段の一覧が、書き込まれています。
お祝い価格なので、コンビニより安いおでん価格です。
そして、何よりも、いっことよしくんの笑顔が素敵です。
そうです、いっことよしくんは、本当の夫婦になったのですから。
お店の中は、お客さんで満員御礼状態、屋台では、鍋を持った緑が丘の住民でいっぱいです。
その中には、あの幼稚園の子供とその母親です。
「お母さん、僕、おでん食べたい」
と、子供が言うと、母親は、笑顔で、
「美味しいおでんを、いっぱい買おうね」
と、言って、持ってきた鍋を子供に見せます。
いっこは、緑が丘駅のロータリーの屋台と同じように、にこにこしておでんの汁を気にしています。
サンロード名店街のおでん屋に集まった人々を、テレビ局の中継車が来て撮影しています。
中継車の中のマスターモニターには、サンロード名店街を上空から撮影した俯瞰映像が映し出されています。
ドローン撮影で、おでん屋の上空から画をひいて行くと、淡路島をバックにして、雌岡山と雄岡山が見えます。
お客さんで賑わうおでん屋の前のいっこの笑顔が雌岡山に、よしくんの笑顔が雄岡山にオーバーラップしていました。
おわり
いっことよしくん物語 ~おでん屋台編~ がんぶり @ganburi
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