第17話 おでん屋台の将来2

 よしくんの頭には閃きがありました。

そして、よしくんは、調査したりして、具体化する準備も出来ていました。

よしくんは、にこにこして、いっこ、奈美さん、ロマンちゃんを順番に見回しました。

 「何? よしくん、 ちょっと、気色悪いわね。 どうしたの?」

奈美さんが、みんなに向かって笑いながら言います。

よしくんが、とくとくと、話し出します。

 「屋台営業は、いっこの体力的にNGなのだから、屋台を移動する労力を無くせばいい。

そして、いっこは、屋台販売をやめたくないのだから、屋台を固定して営業すればいいんだ。

お店の前を改装して、敷地内に屋台を固定するんだよ」

奈美さんは、

 「それは、グッド、アイデア!」

と、言って、指をパチンと鳴らしました。

ロマンちゃんは、

 「全条件がクリアーされる!」

と、奈美さんの真似をして、指をパチンと鳴らしました。

奈美さんは、ロマンの方を見て睨みつけます。

でも、いっこは、

 「それは、嬉しいんだけど…」

何か気になることがあるのでしょうか?

それを、見たよしくんは、

 「お店の建物内に屋台のような屋根のある物を設置するには、消防法で構造の変更や許可を取る必要があるけど、不可能なことじゃないんだ」

と、言います。

そして、

 「さらに、いっこの労力を減らすためには、具材は、市場から配達してもらうんだよ」

と、言って、いっこを見つめました。

いっこは、まだ、何か気になることがあるようです。

いっこは、下の方を見つめています。

すると、奈美さんが、いっこを見て元気な声で言います。

 「よしくんと、一緒にお店やるのよ。 いっこ!」

よしくんは、

 「いっこ。お店の改装費とかは、心配しなくていいからね」

と、言って奈美さんの方を見ました。

奈美さんは、

 「よしくんは、まず、東京から転出して、この三木市に転入ね。住民票移してね」

と、にこにこしながら言いました。

いっこは、やっと安心した表情で言います。

 「よしくん、ありがとう」

すると、ロマンちゃんが、

 「いっこさん、おめでとう! さあ、飲も、飲もうよ!」

コップを上に高く持ち上げます。

他のみんなも、一斉に、

 「おめでとう!」

と、声を掛け合います。

いっこのおでん屋台からは、楽しそうな声が緑が丘に響き渡ります。

緑が丘駅の自動改札から出てくる人々は、珍しそうな顔をして屋台を見ながら通り過ぎて行きます。

屋台の屋根裏に貼った神出神社のお守りが輝いているようです。

いっこがお願いした縁結びは、いっことよしくんの縁結びだったのかもしれません。

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