第7話

それからというものの私は起きては寝転がり、

キャッチボールをするという毎日だった。

投げては受け取り、受け取っては投げ、

予想しては遅れ、

遅れては予想をする日々が続く。


鵠沼は急に自分が詩人だということを話した。

狭苦しい病室で、彼は外を眺めながら言った。

「人生は満員電車で、時に満員で狭苦しくて、時にガラガラで寂しくなる」

ほうほう、それっぽいことを言っている、

確かに筋は通っていると私は頷いた。

「君のように遅れて時間が進む人もいるが、

大体は定刻通りだ。早すぎる到着はない。

ゆっくりと治療していこう」

と彼は笑みを浮かべた。

「本当にそれっぽいこと言いますね」

と彼にいうと

それは貶しているのか?と彼はまた笑う。

「君には未来が本当に見えているのか?」

彼は突然こんなことを言い出した。

私も何だと思っていたことを

彼は気づいていたようだ。

「そうだとしたら、どんなふうに見える」

彼は空っ風のような乾いた台詞を吐いた。

私は23秒が経過した後に、

「常に三つの選択肢が

頭の中に用意されている」

と言った。

突如芽生えたこと能力は、

後々ある事件を巻き起こすことになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る