第11話 011

 主の消えたダンジョンの最深部でアルトは骸骨が消えた辺りをまさぐっていた。魔物は死ぬと魔石っていうものを出す様で、それが魔法道具の材料や燃料となるらしい。


「あった。これだよ。これ」


 アルトの人差し指と親指に挟んで持たれている小石程度の黒い石がこちらに向けられていた。その石はオーラのようなものをまとっているように見え魔法のアイテムだということが僕にでもわかるくらいの代物だった。


「この辺じゃ魔法道具なんて無いだろうから需要はないだろうけど、王都だと結構な値段で売れるぞ」


 魔石の説明をしたアルトは部屋の一番奥に置かれた碑石に触れた。次はユイの番で、そして最後は僕の番だろう。「どうぞ」とユイに譲られて最後に残った僕は、碑石に触れた。ダンジョンの中でも同じように『ピコン』音がして+20000と浮かび上がる。ダンジョンの中は結構な報酬がもらえる様だ。


そしてこの碑石のスキルはアンチライトのようだ。


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アンチライト 01


生成されたライトの効果を打ち消す、

さらには蠟燭や松明などの光源も打ち消す

事ができる。

 必要Point 32000

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 ・・・また戦闘スキルじゃない。さすがに必要なさそうだが、実質12000ポイントで魔法が手に入ると考えると思ったほど悪くないので覚えてしまった。それと先ほどの失態でへて、前衛をもう一度選択した。


「よし、ひとまずこれで終わりだな。帰ろうぜ」

「はい、お兄様」


 僕が無言でうなずくと。3人で帰路へとついた、帰り道は行きで倒したためなのか魔物はまったく居ないようですぐに雑談が始まった。


「リョウタは剣持ったのは初めてだよな?」

「はい」

「そうだよなー。大きな町ならまともな武具店がある、それまではその松明で素振りがいいだろうな」

「わかりました」

「それにしてもへっぴり腰というか、よわよわしい剣でしたね。」

「・・・」

「お前なぁ?かわいそうだろ?暇な時にリョウタに剣の振り方教えてやれよ」

「なんでユイさんなんですか?僕はアルトに教えてほしいです」


 僕の答えを聞いたアルトは、ユイの頬っぺたにツンツンと指をあてならが言った。


「うわー。お前嫌われたな。」


 ユイは腰の剣を突を半分抜き。僕のほうを見て微笑む。その時僕の背かなには悪寒のようなものが走った。


「私は一応ですが剣士ですよ。それに天才肌のお兄様に教えを乞うということは同じく才能があるものでないとダメでしょうね。性格が雑ですからきちんと教えられないでしょうし。」


 体が弱いと言っていたしユイの方は前衛極の脳筋タイプなのだろう。そうでなければスケルトンを1撃で粉砕するちからはないだろう。

 そして微笑みながら剣の鍔を鞘に当てて音を鳴らしている・・・これは僕が折れなければどうなるのか考えたくもない。


「やっぱり、ユイさんにお願いします。」

「よろしいでしょう!!あなたを一人前の剣士にして差し上げますよ!」

「良かったじゃん。クビは免れたな。おっ!そろそろ出口だぞ。冒険は町に着くまでが冒険だからな油断するなよ。」


 地上へと繋がる梯子を上り、教会の一室へと戻った。それは僕たちが初めてダンジョン踏破した瞬間だ。

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