第8話 008

 公園を出た僕達は教会に着いていた。教会に冒険などあるのだろうか?教会は古そうだがかなり豪華な作りになっていてそれの持つ権力を窺わせいる。ってよりよく考えたら初めから悪魔退治とかだったら難易度が高すぎるぞ。これは走って逃げた方がいいだろうか?


「お前はここで待っていてくれ」


 アルトはスタスタと教会へ入り、僕は取り残された。


・・・


「入っていいぞ。こっちだ。」


 しばらくすると扉が開いて、呼ばれシスターの案内で大広間の奥にあった懺悔室様な場所を横目に通り過ぎ、一番奥に向かって進む。3つくらい部屋を通り過ぎたくらいの突き当りの部屋の扉の前でシスターが立ち止まち道を開けた。


「それでは」


 シスターがいなくなり2人なると部屋の前でアルトが得意げな顔をして僕の方を見る。


「実はなこの教会には、ダンジョンがあんだよ!まぁダンジョンといっても危険の少ないモンスターしか出ない練習のダンジョンだ。教会っていうのはな孤児を育てるだけじゃなくてな・・・。こういう感じで集金してるんだよ。」


 よくわからないがこの世界でも宗教関係はある程度の権力を持っていて、このような田舎ではダンジョンを独占し、寄付をしたものだけにダンジョン攻略の機会を与えているって事なんだろう・・・想像だけど。なんという錬金術!ずる過ぎる。そしてこの町にあるダンジョンは勇気のダンジョンと呼ばれており、町を出ない村人の成人の儀式にもなっているようで、まぁ簡単に言えば勇気さえあればクリアできるダンジョンという事だ。


「覚悟はいいか?この先は一応危険だぞ。難易度が低いというだけでこの中で死んだ人間がいないわけじゃない・・・と思う。」


 アルトが先頭で部屋に入り、部屋の中心にあった梯子の掛かる穴の中を確認しそのまま降りていく。アルトが「降りてこい」と叫ぶと僕の番だ。ダンジョンの中は、冷っとした空気を感じるスケルトンやゾンビなどの死霊系のモンスターが今にも出てきそうである。


「荷物は任せたぞ。それとライトもな」


 僕はアルトに手を向け「ライト」と呪文を唱える・・・しかし何も起きなかった。


「おぉ明るくないな、一寸先も見えないぜ?何やってんだ?」

「魔法ってどうやって使えばいいのでしょうか?」

「いや、生活魔法使ってんだろ?」

「い、いえ・・・。」

「まじかよ。」


 普通に使うこともできるらしいのだが、すぐにできずにすてータスが画面から選択をして使うことができた。


「おっ今回は本当に明るいな。」


 あまり緊張もしたように見えないアルトはすたすたと進んでいく。逆に僕はかなりビビりながらアルトの後ろを追った。


 進む先に魔物は存在せず、分かれ道も今のところは無い。ただの洞窟といってもいいくらいだ。何も出ないで少し緊張がほぐれてきたのか僕はしゃべらずにはいられなくなった。


「なにもないですね。ってか僕は武器も無いけど・・・。」

「そういえばリョウタは荷物が少ないな。この町じゃ包丁くらいだろうしな、その辺の棒でも拾っておけばよかったのにな。」

「・・・そういえばなんでダンジョンに碑石があるのでしょうね?」

「碑石の魔女って話知っているか?」

「知りませんよ。」

「魔法の碑石を作った魔法使いには弟子がいたのだけども危ない魔法ばかり作るし性格が悪くてなそいつはダンジョンのなかに碑石を立てたらしいぞ。」


 碑石を作ったのは魔法使いがいる事はわかったがダンジョンにわざわざ碑石を作った理由はまったくわからなかった。きっとアルトも知らないのだろ。

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