第5話 005
この世界へ来て既に10日目だ。適当に街をぶらつき腹が減ったらギルドや食堂にきて飯を食うを繰り返していたら、思ったより時間が過ぎていた。宿をとらなければ、食事代くらいしかかかることもなく、結構な勢いでポイントがたまっていく。
かなりだらけているが、一応おばちゃんが目を光らせているから、1つ目の太陽が上がるころにランニングをする事にしている。1つ目の太陽というのは、この世界には夜という概念がないからだ。太陽が3つありちょうど3分割したくらいで一周するので常時昼なのだ。人々は、その太陽のどれかを基準に選んで生活しているようだ。
それにしてもどうしてこんな風になってしまったかというと、食事は思ったよりお金がかからないのだが、冒険の必需品が高いのだ。バック、剣、予備の服や薬草、靴、小手やら何かまでそろえると最低ランクでそろえても50万程だ。この世界の人間ならば、17まで生きていれば5000万くらいはあるだろうが、僕は、まだこの数日で12万くらいしか持ち合わせがたまらなかったのだ。完全にお金が足りない・・・。
そんな感じで頭を抱えている僕と隣に一人の男が立った、そしてあろうことに話しかけてきたのだ。
「ここ座ってもいいか?」
声の主は見た目大学生くらいのさわやかなイケメン風の軽装剣士だ。装備も整っているがすべて新品で歴戦勇者の様には見えない。当然僕は返事をしなかったのだが無言を承諾と取ったようで彼は椅子に勝手に座り、あろうことかなれなれしく話しを続けたのだ。
「もしかして困ってるか?そうだろ?女でには見えなそうだから金だろ?」
「・・・まぁ、・・・た、確かにそうですね。」
「ならいろいろ教えてやろうか?」
な、なんて怪しい奴だ!どう考えても身ぐるみはがされるパターンだ。僕は震えるしかなかった。
「ごごごご、ごめんなさい、やめておきます」
「あははは、食ったりしないってそれにこっちも新人冒険者だからな。」
「そうなのですか?えっと、どこから来たのですか?」
「あぁ王都からだ、まぁスタート地点としたら、この辺が一番安全だからな。」
「王都?」
「おっ興味出てきたか?そうだよ俺は王都から来たんだ。王都は庭みたいなものだな」
チンピラのような答えに、この男の怪しさが倍増しだ。
「仲良くなったところで自己紹介だ。俺はアルトまぁ冒険者1日目の新米だ。そっちは?」
仲良くなってはいないと思うが、相手が名乗ったにも関わらず名乗らないのは失礼だろう。
「リョウタです。僕も冒険者0日目の新米です。」
「リョウタは珍しい名前だな、まぁよろしくな!ってか0日目ってなんだ?」
「いえ、お金がなくて装備も買えないので何もできないのです。」
「はは、そんな感じだよな。ところでリョウタはどのルートを進むつもりだ?」
「ルート?」
「やっぱりな。知らそうだよな。さすがに魔法の碑石くらいはわかるよな?」
無言でうなずいた。
「この世界には数えきれないほどの碑石が存在するわけだ。まぁ人生全部使っても回り切れないわけだな。」
「だからな端から回っていけばいいものじゃない。当然効率がいい順番が生まれるわけだしいらない魔法憶えてもしょうがないだろ?」
確かにいうことはわかる。
「長年の研究で効率と使い勝手のいい魔法を憶える順番をルート丸々という感じで呼ぶようになったんだよ。」
「物知りですね。」
「こんなの常識だぞ?俺はすでに魔法をすでに数個憶えているし、効率無視の独自のルートで王都に戻ろうと思ってんだよ。まぁそこでな?急な話なんだがな実はバックパッカーを探してんだよ。」
・・・その瞬間、僕の額に変な冷や汗が流れはじめた。
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