第3話 003
「おい起きろ」
微かに声がしてだるいからだを起こしてあたりを見回す、見渡す限りの草原だったところから変わり、1台の荷馬車と男がそこにはあった。神様ありがとう助かった。
「こんなところで寝てると魔物に食われんぞ?」
思いっきり中世ヨーロッパの村人Aというくらいの地味な恰好の30代くらいのおっさんが僕に話しかけていた。
「すみません、ここはどこですか?」
「アブル村の近くだよ。どうしたガキの癖に酔っぱらって馬車の荷台から落ちたのか?」
馬車の荷台から人が落ちても進む馬車・・・そんなのがあったらむしろひどい馬車だと思うけど・・・。
「その恰好から見るに冒険者だろ?アブル村にいくのか?」
異世界人というわけにもいかず僕は、話に乗っかることにした。
「は、はい。そうです」
「ちょうどアブル村に戻る所だ載せていってやるから付いてきな。」
「ありがとうございます。」
村人Aについていくと馬車に貨車のような物がつながっており荷物がたくさん積まれている。「狭いが我慢してくれ」と言いながら馬車から荷物を貨車のような物に詰め替えているようだ。
「アランだよろしく。君は?」
「リョウタです。よろしくお願いします。」
「あぁ、よろしくな。」
「申し訳ないのですが村までどの程度の時間がかかりますか?」
「??そうだな~。すこしだと思うよ。」
村人A改めアランさんの馬車は晴天の草原を進みだす。やっと落ち着けた馬車の中で僕は持ち物を調べはじめた。今まで気にする余裕すらもなかったが僕自身も中世の村人と同じような服?を着ていたのだ、そしてその腰に革の袋の様な物がぶら下がっていた。もうちょっとサービスしてくれてもいいのじゃないかと聞こえるのかもわからない神様に祈りを捧げた。
ちなみに、腰についた袋は水筒だったようで、中に入っていた少しどぶ臭いの水を一気に飲み干した。
しばらくして、アランさんと会話することができた、僕を助けてくれたアランさんはアブル村という小さな町で卸業を営んでいるようで近隣の村から荷物を運んでいる途中、僕を見つけ駆けつけてくれたという事らしい。
この辺りは魔物もほとんど出ることは無く、治安もかなりいい場所との事だが流石にあそこで寝ているのはやばかったらしい。この世界の情報をできるだけ集めるべく、アランさんにいろいろ聞こうとしたのだが思ったが、休んでいる時間が長かったのか、アランさんから「ついたぞ!」と思ったより早く言われてしまい馬車を降りることとなった。
・・・
門を抜け村へと入ると、レンガらしき壁に木造ではない建物そして道はちゃんと道路として整備がされていた。見たままの感想を言うと中世の街並みそのものだ、ただ村というよりちゃんとした町である。
「この道をまっすぐ進むと大きい教会がある、そこを右に曲がればこの町の碑石だよ。」
親切にステータスアップの石、こちらでは碑石と呼ばれているらしい物の場所を教えてくれたアランさんを手を振って見送り僕も歩き出す。
・・・
これ地球人が建てたのかって思うくらいの教会らしき建物を左に見ながら先に進むと、突き当りに公園らしきものが見えた。きっとここが魔法の碑石のある場所なのだろう、その公園を碑石に向かってなんとなく歩いているが僕には目的がないのだ、何せ僕は勇者ではないし、たまたま戦争に巻き込まれてここにいるだけの人間なのだ。
だが、せっかく異世界へと来たのだ。ここでチート能力が芽生え、簡単に魔王を倒して凱旋して、姫とむへへへへ。そんなことを考えているとすでに公園の最奥に陣取っていた魔法の碑石の前まで来ていた。これは、冒険?が始まって1つ目の碑石だ。そう思うと僕の心臓がドキドキと鼓動が早くなる。そう僕の冒険は今から始まるのだ。
碑石を触ると『ピコン』と音がして+100と表示される。この辺はチュートリアルで練習した通りだ。
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神の軌跡
ヘルプ Point 55769
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これが今のステータスで、その横にこの碑石で覚えられる魔法であろうデータが表示されていた。
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ライト 01
威力 30
辺りを照らす光を手のひらに生成する。
威力分の時間維持できる。
習得必要Point 100000
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・・・そもそもポイントが足りない。それに魔法も微妙だ、戦闘用の魔法ですらない。でも光の玉を出せるってちょっとLv1勇者っぽいなんて思ったりもする。
まぁガッカリして、落ちもついた所で今日の宿と食事を探すことにした。ポイントは勝手にたまるという事だし、時間が解決してくれるだろう。
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