第2話 002

はっと気が付くと僕は、いつのまにか倒れこんでいた様だ。砂埃を払いつつ立ち上がると、なんと空気のおいしい事か、車やバイクなどの機械音も騒音もないただ風の音が聞こえるくらいだ、もちろん核汚染もないだろう。ここは見渡す限りの草原だった。


 何をどうすればいいのかもわからない呆然と立ち尽くす僕の左腕から『ピコン』と救いの呼び声が聞こえた。


「こ、ここを押せ?」


 わけもわからないまま僕の左腕に文字表示された文字を押すと表示が拡大され、神様ニュース・必読と見出しが目につく。


 現代の地球よりも未来的なシステムをスマホ感覚で操作しつつ、きっとこれが神様の言っていた魔法なんだろうと感動するほかなかった。


 本題となる神様ニュースの内容は、簡単に言うとチュートリアルだ、開始ボタンを押すと高さは1m程で削れた断面には僕には読み取れない記号が沢山刻まれている石みたいなもののホログラムが映し出されて、そこにこれに触れば新しい力を得るという事だ。


 ホログラムの石の上に「触れるのじゃ!!」と表示されてチュートリアルの進みが止まった。


 ゆっくりと手をあげ、鼠色の石に近づけると、手のマークが表示されその場所に合わせた。すると、また『ピコン』と音が鳴り碑石の近くに+50000という文字が浮かんで消えていく。なんだかわからないけどすごいぞこれは。僕の厨二心はテンションマックスだ。


「このように新しい碑石に触る毎にPointが得られる。地球人には経験値といったほうがきっとわかりやすいじゃろう。」


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神の軌跡



ヘルプ     Point 54566

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「まぁ大体こんなものじゃな、そのPointは、魔法や技を覚えるためだけでなく交易などの取引でも使用できてさらには、生きているだけで勝手にたまるのじゃ。簡単にいうとこの世界では、働く必要すらないということじゃな。後の事はヘルプを読むとよいじゃろう。では、良い異世界生活をおくるのじゃ。」


・・・。


 チュートリアルは、ここで終わりのようで草原に放り出された僕のサポートは一切ない。・・・ここで原始人の様に暮らせという事だろうか?テンションマックスだった僕の心は既に恐怖と不安でうめられていた。


・・・。

・・・。


 結局いい案が浮かぶわけもないし、サバイバル術にたけているわけでもない僕は、地図もなく進めばいい方向もわからずにとぼとぼと歩き始めた。


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神の軌跡



ヘルプ     Point 54753

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暇なので歩きながら何度もステータス画面を見直す。お金兼経験値は、10秒で1程増える様だ、この感じなら24時間くらいで1万ポイントくらいは増えるだろう。そう考えてもこの世界の物価がわからないとどうしようもないが、もし1円と同じだった場合、ひと月30万円のお小遣い支給されているのと同じとなる。


 異世界サイコー!働かなくておっけー。勉強しなくておっけー。もう一度言おう異世界サイコー!!まぁ無事に街にたどり着けたらだけど・・・。歩くのにテンションを上げようと必死にふるまうがどれ程歩いても土と木しか見えない。人どころか魔物すらすれ違わない地獄の行軍だ。


 歩き疲れてしんどくなってきたところでステータス画面にあった神の軌跡を調べ始める。本当は怪しい神様に頼りたくはないのだが、背に腹は代えられないとは、この事だ。システム自体は、スマホの操作ができるなら誰でも操作できそうな感じで神の軌跡のデータもすぐに表示させることに成功していた。


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神の軌跡 01

 神の軌跡を願う。

(今は忙しいので対応不可)

消費Point 30000以上

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 ・・・。対応不可?ってまぁ80億人以上の人があの日に亡くなったのだ。そしてそのほとんどがこちらに来ると考えると神様の忙しさは半端ないだろう。忙しさは別として有料なのだ。なんてガメツイ神だ次あったら言ってやろう。


・・・。

・・・・。

・・・・・。

・・・・・・。


 あぁ。もうこれ死ぬかも。できることは、歩くことだけでもう数時間は歩きっぱなしで水や食べ物なんて一切ないのだ。そう思った瞬間体が諦めたのか、僕はその場で倒れてしまった。


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