001-Ⅱチュートリアル

 僕は転生前に女神と話して跳ばされたのか真っ暗な空間を浮遊しているが…暗闇になってからどれ程経ったのか…長い間浮遊した感覚と共に僕は暇を持て余している。


「女神さまーーー!?僕はこれから何をしたらいいんですか!!!」


シーンと言う効果音を自分で付けてしまいたいくらいに僕の独り言で終わってしまった。

暇だなぁどうも転生には時間がかかるのか?分からないのだが結局、調停者メシスタって何をしたらいいとかすら分からないままなんだよなこれって僕はどうしたらいいんだろう。

僕の知っている物語だと光に包まれたらそこは知らない世界でした!みたいな感じだったのに今の僕ときたら…次の世界に転生するのによくわからない空間に飛ばされただけだ。


「メルでも女神でも誰でもいいからこの状況を説明してくれーー」と叫んだら見覚えのある球体型の発光飛行物体が現れた。


「呼ンデ頂ケマシタノデ応答可能ニナリマシタ」


‘‘日記のレベルが1に上がりました―――”とメルの声と共にウィンドウが現れた。


「ワタクシ、メルでございます。貴方のお名前をお伺いします目の前に表示されたウィンドウに入力してください。尚伺った名前の変更は不可ですのでご注意下さい。」


先ほどのカタコト口調と打って変わって少し流暢な喋り方になったメルが今度はゲームのチュートリアルの名前設定みたいなこと言い出した…

ウィンドウはこれなのはわかるけど…??でも、どうやって入力したらいいんだr――


「ウィンドウを触ると入力可能です」


僕の心を読む機能でも備わってるのかと言うタイミングなのに名前は自動で読み取ってくれないらしい。

ウィンドウに触れた感覚はないが名前と書かれた所をなぞるとキーボードの様なものが現れ『ソウ』と入力すると‘‘日記のレベルが2に上がりました―――”とまたメルに似たような声が聞こえた。


「ソウ様こんにちわ私の名前はメルです。正式名称はメルの日記と言うスキルですソウ様の世界の旅にお供いたします質問があれば「メル」と念じてください」


念じるだけでいいのは助かる何もないところに呼び掛けてたら怪しいやつ確定だし、さっき見た飛行物体の時に話しかけてても普通にヤバいやつ認定されて人里離れた所で生きていく羽目になってしまうのはごめんだ。


「メルは球体だったり発光していたりするけどもう少しそばにいてもおかしくないと言うか…いい感じの形にはなれないの?」


「ソウ様のご希望がございましたら思い浮かべるだけで変化は可能でございますそれかお決まりになるまでの間1つ目の世界に存在するものに変化しておきます」


「なら、とりあえず転生先に存在するものになっておいてよそれはさておき転生にはこんなに時間かかるの??」


女神からはなんの説明もないし…と僕はぶつぶつとメルに疑問をぶつけた。


「地球うまれの調停者メシスタさまが転生される際メルの日記の権能によってメル様が生前御造りになられたこちらの亜空間に飛ばされる仕組みになっております」


やはり…女神の怠慢だったようだ…

この亜空間は日記の持ち主が転生する時に一度飛ばされる様になっていて念じればカスタマイズも可能らしいので試してみたが何も起こらなかった…


「メル??念じたら出来るんじゃないの!?」


「ソウ様…スキルの発動後に念じていただかないと…思考の読み取りが出来ません」と申し訳なさそうに言われてしまった。


「ソウ様のウィンドウの右上のメニューに触れてステータスを触ると現在のアビリティや所持スキルなどが閲覧・使用方法の確認などが可能でございます」


僕のステータス…

元谷ソウ

ヒューマン Lv 1


調停者メシスタ Lv 2


HP 50/50

MP 50/50

攻撃力   10     (素手の打撃ダメージ数、装備が増えると加点プラスされます)

分析力   0.00000001%(スキル【メルの日記】から引き出せる情報率)

魔法操作値 10     (魔法を放った時の精度・コントロール力)

防御耐性値 10     (ダメージを受けた時に減少するダメージ量)

環境変動値 0.0001%  (仲間や環境によって能力の飛躍率)

幸運値   50     (運で得る物全てに影響を与えます)


【メルの日記】・【成長限界無効】・【六感強化Ⅱ】


僕のステータスは平凡すぎるかもしれない…いやそもそも高いのか低いのか分からない様な項目だったりするから何とも言えないけどよくゲームで見る項目はかなり低いな部屋に引きこもっていた様な人間に高ステータスを期待なんてしていなかったけれど…


「僕ってかなり低そうなステータスなんだね」


「ソウ様のステータスは規定値です調停者は平等性の為基本ステータスである7項目は女神にあった時点で整えられ幸運の項目のみ生来の数値となります今後の生き方次第でどの項目も上昇可能でございます」


「規定値が10なら僕の幸運は少しだけ高いって認識でいいんだよね?」


「その通りでございます。+40されている幸運値により調停者に選ばれたとも言えるでしょう」


不運だと今まで思っていたが幸運であることを僕が活かしきれていなかっただけなのかもしれないと少し反省をした。

地球での僕は一体どんなステータスだったのだろうかと思ったが引きこもりだった訳だし期待したくはないから聞かないでおこう。

自分のステータスに胸をなで下ろしていると

「では、最後のチュートリアルでございます。転生希望先を選択してください次回以降はランダムです」と言って新たなウィンドウを表示してきた。


ラグレシア

 ※推奨Lv 1


アールトハイド

 ※推奨Lv 2


エレクロン

 ※推奨Lv 2etc...


これは、明らかに自分のレベルが推奨レベルって事だよね

アールトハイドから下は全部赤色かオレンジ色表記の文字だからきっと緑色のラグレシアを選択するべきなんだろう…

ここまで分かり易いのに選択とか意味あるのかこの機能は


「じゃあラグレシアにするよ文字の色で危険度が分かるんだろ?」


「ソウ様さすがでございます。文字の色、推奨Lvとの差異で今後はランダム化されます」


ラグレシアではレベルアップをたくさんしていけば後々楽になるだろうか…


「では、ソウ様転生の手続きをさせていただきます転生の際5歳までは記憶をシャットアウト致します」とメルが言うとウィンドウの表示に砂嵐がかかり僕の視界も歪み目の前にはカウントダウンが始まった。


3...


2…


1...

カウントに合わせ目を瞑った僕に

「5年後にまたお会いできるのを楽しみにしております」と言うメルの声が聞こえたような気がする。

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