12.魔法訓練 4
「すごかった!」
目を輝かせながら感想を言われる
「魔力、感じれましたか?」
「うん!!」
元気のよい返事が返ってくるので、そのまま実習に移ることにする
「では、自分で魔力を動かして感じてみましょう」
「わかった!」
やり方を説明する前に、自分でやり始めてしまった
「うぅーん…」
おもちさんが目を瞑り唸り始めてから少し経った後、異常な魔力を感じた
「…!?」
おもちさんから溢れ出ているようだ
他の悪魔は、見る限り気づいていないようだ
暴走まではいかないが、制御はできていない
「おもちさん?」
暴走で意識がなくなっているかもしれないので確認のために声をかける
「ん?おれ、できてた?」
しっかりとした返事が返ってきた
それと同時に、魔力も感じられないほどおさまった
(本人も、どうやら気づいていないようなのでそのままにしておきますか。実力に合わない力はその身を滅ぼしかねませんからね…)
「…そうですね、できていましたよ。ですのでもう一度、魔法を試してみますか」
分かった。と元気な返事が返ってきた
おもちさんはそのまま目を瞑って今度は詠唱を唱え始める
「水の精霊よ、我が声に導かれ水の玉を作りたまえ」
すこし、沈黙を作り魔力を集めているようだ
「……ウォー!ター!ボォール!!」
大きな声で叫ぶおもちさんの前には悪魔3人は入りそうなほどの水の玉
「できた!おれ、できた!」
︎︎そう言ってはしゃいでいるがおもちさんを横に黒組、そして私は水の玉、そしておもちさんを凝視してしまう
「…とりあえず、体調は悪くなっていませんか?」
︎︎魔力の低下による不調があるかを問うが、大丈夫と元気の良い返事が帰ってくる
(初めての魔法でこれ程の大きさのウォーターボールを作れるとは…とんでもない“シロクマ”ですね。それにしても、魔力の量が異常的なほどに多いですね…)
「もっちーってすごかったんだね!!」
ルナさんが皮肉を込めていそうな言葉でおもちさんを褒めた
しかし、彼女はそんなことを感じさせないほど目を輝かせながらおもちさんを抱き上げた
「でしょー!おれはすごいんだー!!」
2人は楽しそうに会話を弾ませる
「本当にすごいですよね。私、てっきりアクアボールを作ると思っていましたが、まさかウォーターボールをすぐに作ってしまうとは…」
コサメさんは2人の横で不思議そうにおもちさんを観察する
「私もアクアボールを作ると思っていました。やはり、適性があるなしでは大きく成長速度が変わりそうですね」
(…彼の生態については、一度詳しく調べてみたいですね)
そう考えたとき、おもちさんが震え上がる
「どうされましたか?」
私が聞くが、当事者であるおもちさんもよく分かっていないようだ
「なんでか、突然悪寒が…」
…心当たりがある気がしますが、気のせいでしょう
きっと、おそらく…、…たぶん………
「ノアちゃん!私も魔法使いたーい!!」
ルナさんの元気な言葉で、私の現実逃避の思考が止まる
それと同時に、私はこの思いを無かったことにする
(…私は、おもちさんがどんな存在かが気になるだけで、危害を加えるつもりはありません。つまり、おもちさんの悪寒は私が原因ではない!…よし、これで大丈夫ですね!)←大丈夫ではない
「…では、まず生活魔法と攻撃魔法についての説明…。いえ、お勉強を始めましょうか」
使えない理由は1つ、悪魔が無意識で行えることの多い魔力の使い方ができていないだけ
体の感覚として覚えればあとは簡単。攻撃魔法は、魔力があれば誰だって使えることができるものだから
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