11.魔法訓練 3
「生活魔法くらい私たちでも使えるよ!」
ルナさんが声に出して怒っている
その後ろでは、コサメさんも少し不機嫌そうだ
だが、おもちさんは何も分からないのか不思議そうな顔をしている
「…いや、あの!」
「そんなに黒組をなめてると、あの優しいで有名なコサメちゃんも怒るぞー!」
「え!?私何も言ってませんよ?」
弁明しようとするが、言葉を遮られて何も言えない
言いたいことが言い終わったのか、2人は静かになった
「あの、発言してもいいですか?」
もう一度被ってしまうのも嫌なので、今度は確認を取る
「どうぞどうぞ」
譲られるのも違和感があるが、そのまま言葉を紡ぐ
「まずは謝罪させてもらいます。誤解を招く言い方をしてしまい、申し訳ありませんでした」
頭を下げて、謝罪の気持ちを伝える
そして、すぐに頭を上げて弁明を始める
「私が言いたかったのは、魔力に属性がこもっているかを感じる方法です」
3人とも不思議そうな顔をしたので、このことを分かっていないと知り、もう怒られないことに安心する
「説明するのにまず、生活魔法がどのようなものかを説明できますか?」
しばらくの沈黙が流れる
その静寂を破ったのはコサメさんだった
「普段の生活でよく使われる魔法ですよね?コンロに火をつけるミニファイアでしたり、生活用水につかうアクアボールだったりの…」
簡単には説明できているが、それだけでは足りない
「そうですね、生活魔法はそのように説明すれば伝わります。しかし、どのようなものかはよく分かっていないようですね」
3人は先ほどより不思議そうにしながら顔をしかめる
「生活魔法と、このような戦闘に使われる魔法は全く作りが違うんですよ」
そう言いながら右手にはアクアボール
左手にはウォーターボールを出す
「違いはわかりますか?」
そう聞くと、おもちさんがジャンプしながら手を挙げている
小さな体で大きな動作をする姿はとても可愛らしい
「大きさが違う!こっちのがちっさい!!」
アクアボールの方を指差しながら言う
「そうですね。けど、こちらも大きくすることができますよ」
右手に、魔力をさらにこめてウォーターボールと同じくらいの大きさに変化させる
「あれ?同じになった…」
おもちさんは、考え込んでしまう
「…あの、!」
コサメさんが手を挙げているので当てる
「どうしましたか?コサメさん」
たどたどしくだが、言葉を繋げていく
「こっちの方が、色が淡くて…あの、魔力が薄くしか、感じません!」
語尾が強く言い切られているので、確証を持っているのだと考えられる
「正解です。こちらがアクアボールで、ただの魔力だけで作られているので、この球に含まれている魔力は、ウォーターボールの三分の一くらいです。ウォーターボールは、水の魔力へと性質変化させているので魔力が圧縮されて威力や魔力濃度がアクアボールと比べて大きくなっています」
おもちさんとルナさんは分かっていないようだが、コサメさんはなんとなくは理解できているようだ
今、詳しく説明しても意味がないと判断したので、話を終わらせて実習に移る
「まず、アクアボールを作ってみましょう」
ルナさんとコサメさんの2人は作れたが、おもちさんはできていない
「できない!!」
開き直ったように大声で宣言する
「おもちさんは、性質変化ではなく普通の魔力を感じてみましょうか」
おもちさんの大きさに合わせるように屈み、手を握る
その手から、おもちさんの体を巡るように魔力を動かす
「す、すごい…」
おもちさんは初めての体験に感動して、その感覚に集中しようと目を瞑った
天才悪魔ちゃんは底辺に興味があるようです 黒丸 @kuromaru0522
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