10.魔法訓練 2
「魔法が使えない組は意外と少ないですね」
魔法が使えないのは3人
いや、2人と1匹と表した方がいいだろうか
「あなたの名前は知りませんね。伺っても?」
その中の1人に尋ねる
「自己紹介が遅れたね!私はー、ぶへっ…」
勢いのある自己紹介がしたのかったのか、回ろうとした瞬間にこけた
まるで事故紹介だ
「大丈夫ですか?」
手を貸してあげると、恥ずかしそうに笑いながら手を掴んでくる
「…ありがと」
感謝を伝えられながら、目を背けられる
「恥ずかしいとこ見せちゃった。ゴホン…改めまして、私はルリーモナ。ルリちゃんって呼んでね。あ、ルナでもいいよ?」
ふわふわしながら話すのは金髪の少女
天然なのか、作っているのか分からないが可愛らしく話している
「ルナさん?」
「はーい!あと、さん付けじゃなくてもいーよ?」
名前を呼んでみると返事をされる。…可愛い
「コサメさん、ルナさん、そしておもちさんですね。では、それぞれ自分の得意属性を覚えていますか?」
「おれはね、おれはね、青!!」
「私は灰ですね」
「私はー、えっと…なんだっけ?」
(…1人を除いて、しっかり覚えているようですね)
「お兄ー!!!私の得意属性ってなんだっけー!!」
自主練組の1人に大声で声をかける
「なんで覚えてねぇーんだよー!!!!」
その後、少ししてから男にしては高めの声が返ってくる
「俺と同じだから黄!!」
「さっすがお兄!!ありがとー!!」
そうして、2人の会話が終わる
この行動が普段通りなのか、みんな生暖かい視線で見ている
「私は黄です!」
何事もなかったのようにルナさんは言った
なので私もそのまま話を続ける
「…ではまず、得意属性の簡単な魔法を使ってみましょうか」
用意しておいた【誰でも簡単!魔法の使い方】という本を取り出した
(使うか分かりませんでしたが、図書室で借りておいて正解でしたね)
「とりあえず、水魔法から使ってみますか」
「お、おれ!おれが使えるやつ!」
水魔法という言葉を聞いて、おもちさんが目を輝かせて興奮気味に言う
(まだ使えないでしょうが、そう言っておいた方が説明は楽でしょう)
「…そうですね。早速やってみましょうか」
「えーっと、水の魔法はー」
ルナさんが独り言を呟きながら頑張っている
「水の精霊よ、我が声に導かれ水の玉を作りたまえ、ウォーターボール!」
コサメさんはきっちりと基礎の詠唱を唱えているが魔法は使えていない
「ウォーターボール!ウォーターボール!!」
おもちさんは魔法名だけ唱えているが使える気配はない
「集合!」
その姿を見ていられなくて、召集をかける
「ノアさん!使えません!」
ルナさんは手をあげて正直に答える
「頑張ってはいるのですが難しくて…」
申し訳なさそうに、恥ずかしながらコサメさんが言う
「おれは本気出したら使えるもん!」
おもちさんは強がっているが、結局一度も使えていない
普通、感覚で覚える魔法を感覚で使えないタイプの悪魔たちだろう
「とりあえず、魔力を感じてみましょうか」
そう言ってみると、3人ともキョトンとした顔をしている
(……ま、まさか、魔力の存在を知らない?)
そう困惑していると、ルナさんが頬を膨らませながら睨んでくる
「ノアちゃん!私たちのことなめてるの?」
なめていないと反論したいが、ちゃん呼びで思考が止まってしまう
「もー!私たち、流石に生活魔法は使えるよ!」
生活魔法その言葉で、やっと思考を再開することができた
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