黒組育成
9.魔法訓練 1
「おはようございます」
集合時間は決めていなかったが、登校するとすでに昨日の場所で2人が戦っていた
「あ、ノアさん。おはよー」
ティさんが剣術の模擬戦をやめて話しかけてきた
「ティさん、ショーさん、朝から疲れないんですか?」
まだ朝早いのに、全力で戦っていた
しかし、2人はピンピンしている
「鍛えてるんでねー」
鍛えていても疲れるだろう。という言葉を飲み込み、今日の訓練についての伝言をお願いする
「今日は昼休憩に魔法訓練をしたいと思うので、他の方々にここで集まるようにお伝えしておいてください」
そう言い残して、自分のクラスへと向かう
「ノルティーア様。おはようございます」
「おはようございます」
取り巻きA、Bに挨拶された
「おはようございます」
それだけ返して自分の席に座る
「ノルティーア様。昨日はどうされたんですか?あんな底辺の奴らのところなんかに向かわれて…」
それを無視して魔法書を机の上に出す
初心者に向いている基礎魔法のページから、さらに簡単そうな魔法をピックアップする
「ノルティーア様ともあろう方が基礎魔法ですか!?…あ!黒組を痛めつけるのに使うんですか?弱い魔法じゃないと、奴らすぐにでも死んでしまいそうですしね!笑」
…聞いていてしんどくなるような言葉を放ってくる
そんなつまらないことを言う彼の言葉を、無視すればいいと分かっているのに聞いてしまう。これを聞いて怒るのは黒組であって私じゃない。なのに気分がどんどん悪くなる
「もし痛ぶるなら、自分も呼んでください!試したい魔法があるんですよねー」
悪びれもなく陽気に言葉紡いでいく
その様子には、誇り高い魔族の血を受け継いでいるのは到底思えなかった
そのまま授業が始まる前まで、彼は話し続けた
黒組の悪口、課題への愚痴、生徒のゴシップ
どこから集めてきたのか、かなりの時間を話し続ける
「授業始まるから前むけー」
その言葉でやっと話が終わる
(弱いが誇りを持っている悪魔、ある程度を持っているのに強いものに縋り、保身に走る悪魔…どちらが悪魔と言えるんでしょうか?)
いつもは長いと感じる授業は、彼らのために魔法を探していると短いと思えるくらいにすぐ終わった
授業が終わり、すぐに外に出る
もう全員が集まり、自主練に励んでいる
「皆さんお揃いですね」
たまたま休憩していたティさんに気配を消して近づき、後ろから声をかける
「うわぁっ!!」
大袈裟な反応に笑ってしまう
「ふふふっ」
ティさんは勢いよく振り返り私の顔を見た
その後、頬を膨らまして怒る
「ちょっとノアさん!今、驚かせましたよね?」
「いえ、私はただ声をかけただけなので」
ここは謝らずに、自分は悪くなくなるように進める
「ノアさん。ごめんなさいは?」
謝罪を求めてくるので丁重にお断りする
「謝ることは、特にはありません!」
言い切ると、少し睨んでくる
その表情が面白くて笑ってしまう
「何笑ってるんですか!!」
「ふふっ、ごめんなさい。頬を膨らませながら睨んでくる表情が面白くて」
何故か余計に不機嫌になっている
「なんでこっちの事はすぐに謝るんですか!」
そっちのことかと納得する
どちらにせよ、私は驚かせたつもりはないので無罪ですけど
「それより、魔法訓練を始めますよ」
「それよりって、ノアさんが始めたんじゃないですか…」
話を切り上げ、他のみんなが集まっている場所にティさんを連れて行く
魔法が早く使いたいのか、視線が私に集まる
とりあえず、開会の宣言でもしておきますか…
「では、今から魔法訓練を始めます。まず初めに、魔法がすでに使える人と使えない人で分かれてください」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます