7.日記

 黒組と別れてから、ノアは寮へと向かった

 部屋に戻り、今日あった出来事をまとめようとする

「ふぅー」

 椅子に座った途端にため息が出る

 いつも以上に他人と会話したことで、自分が思っている以上に脳が疲れているのかもしれない


 日記を開き、書き始める

『6月24日

 底辺と呼ばれている黒組と会話をした

 魔力は平均以下が多いが、数人は平均値より少し高い

 剣筋が安定しているものが多いが、技術は素人に毛が生えた程度

 短期間で努力をしていることがうかがえる


 黒組の中に、おもちという30cm程度のシロクマのような魔物が混じっていた

 おそらくだが、灰属性に適性のあるコーサメン・ランモが召喚した模様

 召喚魔法を知らないうちに使えているので、適性は高いと見られる

 全員が勉強意欲があるようなのが予想外だが、大きな利点になった

 来ていないと見られる2人が明日も来ないようなら、詳しく事情を聞いてみる


 テイレット、ショウオーリ・ウーサンこの2名の戦闘センスはかなり高いと見れる

 技術がなくとも、剣でだけなら黄組あたりに勝つことができるだろう

 イールンネーイ・ローカ、彼女の観察眼は目を見張る者がある

 諜報活動、暗殺者、この辺りで才能を活用できるだろう

 それ以外も、個々の個性が他のクラスと比べて比較的に高い才能を持っている

 もし、このまま私の元で成長してくれるならば


 書き終わり、日記を読み直す


 日記に見せかけた、報告書のように見える

 日記は、書き出すことで自分の思考を整理する。それを目的で行なっている


 空を見上げると、満月だった

 いつも気にしないのに、今日は綺麗だと思った

 今日を振り返り、思い出す

 この日ほど、感情が揺れたのはいつぶりだっただろうか


 今日は、楽しい日だった


「明日が、楽しい日になりますように」

 誰に願っているか自分でも分からない

 母が毎日言っていた、という理由で物心つく前から自分も言っていた

 けど、やっとこの思いが叶ったような気がした

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