6.変な生き物の適性

「とりあえず、適性を調べてみますか」

 そう言って動画を取り出すと、キラキラとした目でこちらを、魔道具を見ている

「おれも魔法使えるの!?」

「適性によりますね。適性があっても魔力が足りなくて、属性魔法が使えない悪魔もいますから」

 準備をしながら伝えるが、どうやらおもちさんの耳には届いていないようだ

「まだ?まだ?」

 ソワソワしているので、一度止める

「ストップ!よし、そのまま20秒数えてください」

 ますますソワソワしながら数を数える

「1、2、3、4、5、6、7…もういい?」

 待ちきれないようで、動こうとしている

「もう少しですから。…はい、もういいですよ」

「おれの!おれの適性?、は何?」

 適性が分かっていないようだが、魔法が使いたいようだ

「おもちさんは…青。水魔法と、風魔法が使えますね」

 おぉ!っとキラキラした目で自慢しに行った

「ショーさん!ショーさん!!おれ水と風!2つ使えるよ!」

 ショーさんは、すごいですねーと言いながらおもちさんを左手で抱き上げ、右手をこちらに差し出したので、適性を見る


「ショーさんは赤、炎と武器強化ですね」

「あー、だから火球使いやすかったのか」

 心当たりがあるようで、納得している

「そういえば、楽しそうに使ってたよね」

 ティさんが横からひょこっと会話に混ざる

「ティさんはそのとき、何か使えていましたか?」

 適性は、1番向いているだけで他の属性の魔法も使える悪魔が多い

「水と回復。…だよね?」

 ショーさんが、そのことに頷く

「そういえば、早くしないと下校時間きますよ?」

 イルさんの言葉で、校舎にある時計を見る

 その針は、下校時間まであと30分を切っている

「とりあえず、適性だけみましょうか。明日改めて授業を始めるので自分の属性を覚えて返ってください」


「緑が1人、紫が2人、青、赤、黄が3人ずつですね。このクラスは15人と聞いたので、あと3人…」

「そのうち2人は来てません。あとは、コサメさんですね」

 イルさんが指差す方向を見ると、背は平均より高いがオドオドしている大人っぽい女性がいた

「コサメさん?」

「え、あ、はい!えっと…コーサメン・ランモ、です。ノアさん!」

 素直で、元気で、そして少し自信なさげな姿で可愛らしいと思える方だ

「では、調べますね?」

「…えっと、私魔法が全然使えなくて。…それでも、適性ってありますかね?」

 不安そうだが、頑張って笑っている姿を見るとこちらも頑張りたくなる

「私たち、悪魔の体を動かすのは筋肉と魔力なので、コサメさんの体が動いてるってことはありますよ」

 私のできる範囲で、彼女を不安にさせないようにする

「なら、安心して調べられます!」

 安心できたならよかった


 彼女の属性を知り、驚いた

 比較的珍しいとされる属性、灰

 召喚魔法などを得意とする属性で学年に1人、2人いるかいないかくらいだ

「…珍しいですね。灰ですよ」

「…灰?」

 聞き覚えのない言葉だったのか聞き返される

「…コサメさん。練習の最中、使えそうだった魔法ってありませんでしたか?」

 一度、思いついた事が正しいかを知るためにコサメさんへ質問する

「火の初球魔法と、風の基本魔法が使えそうでした。…使えませんでしたが」

(…やはりか)

 この2つに似た魔力の使い方をする魔法が、灰属性の魔法にもある

 死霊召喚と、使い魔召喚(下)だ

 特に、使い魔召喚(下)は灰の適性があれば誰でも使える簡単な魔法だ

 おそらく、それを使っておもちさんを召喚したのだろう

 (下)は、召喚した魔物が暴れることはないが、互いの同意上でしか契約することができないので、互いに知らないという今のような状況になったのだろう

 魔力が安定せず、魔法陣の場所がズレたのだろうか?


「ノアさん?」

 声をかけられ、ようやく思考をやめる

「あ、すみません。とりあえず今日は解散でいいですか?」

 コサメさんの質問に答えられていないがが、明日考えをまとめて改めて説明しよう

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