3.不思議な人
「私が、あなたたちに勉強を教えたいと思います」
会話から完全にズレた回答を、私は彼らに伝えた
他の人たちは、まだこの言葉が脳に届かず固まる人もいれば、一生懸命言葉の意味を考えたりしている人もいる
「は?」
他よりいち早く理解したティさんとショーさんは、まず疑問が生まれたようだ
質問として成り立っていないこの返答も、この流れなら当然だろう
「私は、学年一位の成績です。教わる相手として不足はないはずです」
「え?…いや、え?待って、ゆっくり…ゆっくり話して。説明が足りない!」
困惑しているティさんの表情は、コロコロ変わりすごく面白い
「あの」
それを見ていると、ティさんの後ろにいた私より少し高めの少女が話しかけてきた
「どうかしましたか?」
彼女は、理解したのか、考えていないのか、真顔で表情が変わらない
「私たちに教えてくれる。というのは、あなたにメリットがないはずです。なぜそんなに非効率なことをするんですか?私たち黒組と優等生のあなた、接点はないはずです」
正直驚いた。もう少し時間がかかると思っていたが、もう冷静に分析してわかりやすく質問されてしまった
「単純な興味ですよ。…底辺だと言われているあなたたちに私はある仮説を立てました。その実験の答えを知るため」
まず、私に利点があることを話す。そして、少し溜めてから次の言葉を言う
「……そして、底辺と呼ばれていた君たちが学園で、優等生の立場に立ったなら教師陣、全校生徒、皆がどう思うのかを知りたくなりました」
彼女の表情は変わらない。何を考えているか分からない彼女についても、少し興味が湧いてしまった
「かなり、自己中心的な理由ですね」
そうですね。けど——
「私は悪魔ですよ?悪魔は、強欲でなくては」
不敵に笑って怖がらせてみるが、やはり彼女の表情は変わらない
(ここまで来たら、変えさせてみたいですね…)
「では、それに私は乗りたいと思います。私はハルグール・オーマ、好きに呼んでもらっていいですよ。このクラスではハルさんって呼ばれてるので、呼び方に困ったらそれで。…まぁ、よろしくお願いします。ノルティーアさん」
手を差し出してきたので、私も手を差し伸べ握手をする
「ノアでいいですよ。…ハルさん」
2人で話している間に、他の者も理解する
「えっと…教えてれるんですよね?」
ショーさんが聞いてきたので答える
「はい。勉強だけでなく、魔法や剣術も私の言う通りに練習してくれるなら、私は教えたいと思います」
「じゃあ…お願いします!」
「練習は今日からにします?それとも、今日は勉強します?」
黒組全員に聞いてみたが、悩んでいるようだった
「じゃあ、さっきまで魔法と剣術の練習をしていたので、勉強を教えてもらっていいですか?」
ティさんが代表して答えるので了承する
「勿論です。まずは魔法の応用の勉強をしましょうか。すでに使える魔法の、他の使い方を覚えるだけで、実力は跳ね上がります。ので、誰がどの魔力に適性があるのか診断していきたいと思います!」
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