集団

「私はいいよ」


「うっわ、まじ冷めたわ」

「いい子ぶってるんじゃないよ」


どうして誰もが、それを欲していると思っているのだろうか。自分とは違う価値観の人間がいるということにも気づかない。それどころか、そんなものは異物であるとでもいうように見ようとすらしない。


世の中にどれだけの人間がいると思っているのだろうか。こんな狭い箱の中に閉じ込められた私たちが、地球レベルで見るとどれほど小さく、どれほど儚いものか。


そんなこと、一度だって考えたことはないのだろう。


一つの音によってすべての行動を支配された私達。その音が鳴れば、私達は椅子に座り、机の上にはノートとペン。目を向けるのは自分がこの場で一番だと言わんばかりの顔をしている男性。そのものが描く文字列。


またあの音が鳴る。


「あー、やっと解放された!この時間だけが至福だわ」


「ほんとそれなー、休み時間の間に飲み物買いに行っちゃおうよ」


「ほら、牧もいくよ!」


結局は私も支配されたものの一人。次の音が鳴るまで友と駆け足で購買へと向かう。唯一の休息、短い安息を求めて。


私達はどこに至って支配されている。何をしたって、結局はどこかで支配され続ける。結局人間なんてさ、そんなものなんだから。

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