忙殺

私は何をしているのだろうか。大勢の人々と共に詰め込まれた電車に揺られ、今日もあくびをしながら向かっている。


この日々を続けて、もう幾年が過ぎただろうか。何も変わり映えのしない景色、変わり映えのしない人、そして変わり映えのしない自分。


あのキャンパスにいたころは、友といくつもの夢を語り、未来に希望を向けていたはずだ。その日々に懐かしさを感じる者はもう誰もいない。


家族、子供、仕事、話題はいつも家のローンや子供の教育費、子供の未来の話へと移り変わっている。


誰と話していても、誰と過ごしていても、どこにいても自分がそこにはいない。相手の中にも当人はいないだろう。


いつ私は、自分というものを置いてきてしまったのだろうか。


今日もいつもと同じ場所で、いつもと同じようなことをこなし、そうして家族が待ち構えている場所へと戻るだけ。


そこでの私も私ではない。家族のために作られた立場の中で仮面を被る私だ。


倉庫に押し込められてしまった本当の私。過去へと置いてきてしまった私が、いつか戻ってくることなどもうないのだろう。

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