箱
同じ空間。同じ場所。同じ時。
閉じ込められた私たちは、いつも顔も合わせずに他の場所を見つめている。
時おり発する声はどこに向けられているものか、呼応する声が聞こえる気がするが、それが本当に声の主に向けられているのかなどわからない。
目線はみな同じでありながらも、異なる場所を見つめている。
「これバズってるらしいよ」
刹那、それまでの光景が序章であったかのように、複数の目が同じ場所へと向けられた。
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