第63話「性別当てゲーム」

 ーー星音のターン。


 んん? コイツ男なのか? 女なのか?


 シロイルカって、どんな生物だっけ?


 シロイルカのコードネームを持ってる目の前の男装野郎は、なんか自身ありげな感じだし、仮面まで外した素顔は、整っていて美人ではあるが、性別までは分からない。


 どっちだ? と言うか、ウチの家族には女装をした四人と女の子としてのパンダが混ざってるせいで性別なんて分からないし。


 あれ? 自分で仕掛けたゲームなのに、全然答えが分からない。


 家に住んでる四人のイエネコとパンダを責めてるわけじゃないが、アイツらと過ごしてたら性別の概念なんて分からなくなるし、感覚まで歪んでしまう。


 ドツボにハマった。


♡♤♧♢


 ーーシロイルカのターン。


 待て待て待て、情報を整理しろ。


 騙蛾様の表の名前は水無月 星音。


 月音閣下とは異母姉弟の関係で、いや……これすらもフェイク?


 女装してるから全然分からん。


 なんだよ、銀髪ツンツン頭のくせに顔が可愛いじゃないかチクショー!


 くっ、ギャンブラーとしてのワタクシの実力を信じろ!


 YesかNOか、男か女か、コインの裏表のどちらかだろ。


「なぁ、こんな状況で悪いんだが」


 騙蛾様がワタクシに話しかけてきた。


「トイレ行っていい?」


 ! 来た! これで性別がハッキリと分かる!


 ワタクシは檻の鍵を開けて騙蛾様を解放すると、騙蛾様が猛ダッシュした。


 は? え?


 ……!? まずい! トイレと言っても、あそこに入られたらまずい!


♡♤♧♢


 しめた! さっき調べたぞ、このカジノには男女共同トイレがあるってことをなぁ!


 僕は猛ダッシュした後に、男女共同トイレの中に入って鍵をかけたら、外からシロイルカの声が聞こえてきた。


「ちょっと騙蛾様! ずるくないですか!」


「ずるくなーい! だいたい男女共同トイレなんて作ったお前達が悪いんだーい!」


「お客様に中にはジェンダーの方々も居るのですよ! と言うか告死蝶のボスが、そんなセコイ真似に出て恥ずかしくないのですか!?」


「勝てば官軍じゃ! 嫌なら男のトイレか女のトイレに入れよ!」


「くぅ!!」


♡♤♧♢


 さて、お互いの手札は揃ったと思うし、僕達はさっきの部屋に戻って答え合わせをした。


「まずは、ワタクシから……騙蛾様は女の子!!」


「理由は?」


「身体的特徴を観察した結果、騙蛾様には胸の膨らみがある。最初は偽物かと思いましたが、さっきの追いかけっこで、胸が揺れてるのを確認しました。すなわち女の子!」


「……ぶっぶー!! この胸は胸パッドでしたー!」


「チクショー!!」


 シロイルカが悔しがっていると、僕は勝ち誇っていた。


 ふ、このキザ野郎を打ち負かしてやった。


 いや、コイツは野郎じゃないか。


「で、では騙蛾様の答えを聞きましょうか? これで騙蛾様の答えも外れたら、引き分けとして別のゲームをしてもらいます」


「OKOK。てか、もう隠すのやめたら?」


「何の話ですか?」


「さっきから胸が苦しそうに見えるよ? サラシでも巻いてる? 君、相当に胸がでかいだろ?」


「…………騙蛾様のエッチ!!」


 こうして、僕は性別当てゲームに勝利した。全然嬉しくないけど。

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