第49話「邪竜女王」
ロングウィットンの竜。
イギリスには様々な竜伝説があるが、ロングウィットンの竜も、その一つである。
伝説によると、人々を癒す井戸に邪悪な竜が住み着いてしまった。
竜を恐れてしまった人々は冒険をしていた騎士に竜退治を依頼した。
騎士は承諾して竜を退治する事になったが、何度も斬りつけても傷が回復する竜の圧倒的な再生力の前に騎士は撤退せざるおえなかった。
三日目にして、竜が不死身である正体を見つけた。
竜の尾が人々を癒す井戸の水に浸かっており、竜は井戸の水の力で不死身の再生力を得ていたのだ。
騎士は策を使って竜を井戸から引き離す事で竜を退治する事に成功した。
この竜と同じコードネームを持つ若き女王騎士『ロングウィットン』も、不死身に近い再生力を持ってるだけじゃなく、邪竜としての凶暴性と冷酷性を身に付けた闇の女王なのである。
そんな恐ろしい女王相手に重飛蝗は『
この能力は、重飛蝗の中には複数の人格が宿っていて、それぞれの得意分野を担うだけじゃなく、複数の人格による多重思考を可能にしており、重飛蝗の中には架空の脳が複数も存在している。
その多面的な思考が可能な彼は、この能力を駆使して探偵になる道を選んだのだ。
話を戻すと、重飛蝗は、目の前にいる邪竜の女王を倒さねばならない。
しかも、相手は小柄な体には不釣り合いな巨大な両刃剣を握っており、たった一振りで岩石を粉砕できそうな鉄の塊を握っていた。
対して、重飛蝗の剣は両刃剣だが細すぎる。
明らかに質量に差がありすぎるし、重飛蝗は、同じ告死蝶のメンバーである眠葉虫のような剣の達人ではない。
それでも、負ける気がしなかった。
「褒美をつかわすぞ道化。余の体の好きな所に剣を刺し込む事を許す」
これは、罠だ。不死身の再生力を持つ彼女に普通の攻撃なんて効かないし、攻撃した直後に彼女の巨大な剣で体を真っ二つにされてしまう。
「陛下、お言葉ですが。レディが、そんなはしたない言葉を使うのはどうかと」
「くく、余を笑わせる天才だな貴様は。余の前で死ぬ事を許す」
重飛蝗の挑発に乗ってくれたロングウィットンは、暴虐の限りを尽くした巨大な剣を横薙ぎに振るった。
しかし、重飛蝗は空中で横回転をして回避したと同時に、着地をするとすぐにロングウィットンの背後に回った。
彼女の弱点は知っている。
背中だ。背中だけは不死身の再生力を持っていない。
背中に剣を刺せば、ロングウィットンは死なないが、彼女に勝つ事ができる。
しかし、重飛蝗の予想以上にロングウィットンの反射神経は速かった。
「遅い」
巨大な剣を軽々しく扱うロングウィットンの攻撃を重飛蝗は避ける暇もなく剣で受け止めた。
明らかに力の差は明確で、重飛蝗は壁まで吹き飛ばされてしまったが、空中で体勢を立て直して、壁に両足を密着させた。
「陛下、今から拙がバッタのコードネームを持つ由来を、お見せします!」
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