第48話「命懸けの推理」
1月のロンドン、日本で告死蝶と赤龍の激突が終わった後の時間軸。
ロンドンの地下深くに存在する巨大迷宮の最奥に、その組織は存在した。
イギリス全土の闇を支配する組織『ラウンドホワイト』の本拠地。
ラウンドホワイトは、現代で消えかけている騎士としての誇りを取り戻す為に結成された組織で、構成員の武器は全て剣、槍と、現代視点から見たら古すぎる武器ばかり装備した集団だが。
この中世の近接武器だけで銃火器相手に立ち向かう事ができる最強の騎士団である。
そのラウンドホワイトの若き女王『ロングウィットン』は、玉座の間で、目の前に
「何しに来たバッタ」
ロングウィットンは、漆黒の鎧ドレスを着た金髪の女性であった。
見た目は10代後半ぐらいに見えるが、それでも女王としての風格を持っていた。
ロングウィットンの前に居るのは、告死蝶No.5『
ロングウィットンと同い年に見える重飛蝗は、ロングウィットンの冷徹な視線に怯む事なく口を開いた。
「
「ほぅ、理由を述べよ」
「拙の推理では、我々は黒翡翠病と言う生命体に踊らされてるだけであります。しかも、これは偶然の産物ではなく、何者かが意図的に発生させた大事件だと拙は考えております」
「……」
ロングウィットンは、しばし沈黙した後に重飛蝗に冷徹な言葉を投げ掛けた。
「バッタ、貴様はわざわざ余の前に来て、くだらい妄想を垂れ流して死にに来たのか? 証拠はあるのか? 確証があるのか?」
「ありません。拙の推理を証明するには、女王陛下のお力添えが必要と考えた為、遠い日本よりここまで来たのです」
「……く、くくはははは!!」
ロングウィットンが笑うと、彼女の配下達も笑い出した。
「バッタ、貴様は名探偵だと聞いていたが、今の貴様は自分の妄想に酔いしれてるだけの道化にしか見えぬぞ?」
「返す言葉もありません」
「そうか……セバス、この哀れな道化に剣を恵んでやれ」
セバスと呼ばれた男はロングウィットンに対して驚きの声を上げた。
「陛下、まさか!」
「そうだ、余が自ら道化の首をはねてやる」
重飛蝗は、こうなる展開まで読んでいた。
ロングウィットンの協力を得るには、彼女に力を証明しなくてはならない事を。
セバスと呼ばれた男から剣を借りた重飛蝗は、ロングウィットンに向かって深々と頭を下げた。
「陛下と直接、剣を交えられる
「それ以上、余の前で口を開くな、耳が腐る。言葉ではなく力で証明してみせよ!」
ロングウィットンが玉座から立ち上がると、巨大な両刃剣を握って重飛蝗の前に立った。
彼女の背丈よりも巨大な剣に対して、重飛蝗が貰った剣は、あまりにも細すぎた。
だが、探偵としての重飛蝗には、ここまで読んでいた為、その細い剣で彼女と戦う事になった。
「陛下、いざ参ります! 秘技『
重飛蝗の命を賭けた戦いが始まった。
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