第47話「一件落着!」

「ぐ、あああ!!」


 星音が着ているセーラー服がボロボロとなって、星音の肉体が火傷まみれの痛々しい姿になっていた。


 星音は全身の痛みに耐えながら、何とか立っている状態だった。


 そして、黄龍も立っていたが、もはや反撃する力すらも残っていなかった。


「見事な一撃であった。若き蛾よ」


 星音を賞賛すると、黄龍の口から血が噴き出てしまった。


「ふぅ、ここまで心が躍る戦いは初めてであった。よくぞ朕を止めてくれた。感謝する若き蛾よ」


「ぜぇ、ぜぇ、こ、降伏してくれますか? 黄龍さん?」


「無論、敗者は勝者に従うのみ、だが頼みを聞いてくれ」


「な、なんですか?」


「パンダとヒョウを見逃してくれ、あの子達は朕の妄想に振り回されただけなのじゃ。あの子達に罪は無い。もしも罪があるなら、朕が全て引き受ける」


「ぜぇ、はぁ、わ、分かりました。国連と相談します。だから、安心してください」


「そうか、これで安心して皇帝の座から降りられる」


 そう言い残すと、黄龍は立ったまま気を失った。


 最後の最後まで、中国の闇の皇帝を貫いた誇り高き男であった。


♡♤♧♢


 その後は、中国の闇組織『赤龍』は、黄龍を失った事で自然消滅して、中国本土で内部抗争が起こったらしいが、中国政府の介入で赤龍の構成員全員が拘束された。


 本来であれば、パンダとヒョウも拘束するはずなのだが、黄龍との約束を果たす為に、星音が必死に国連と相談した結果、二人は闇の住民から一般人になる事を許されて、今は日本で暮らす事を許可された。


♡♤♧♢


 それから数週間後のお正月。


 僕は黄龍との戦いで負った傷を治す為に集中治療室送りにされて、月音姉さんには友達と旅行すると嘘をついて、傷が治った後に家に帰った。


「星音ー! 帰りが遅すぎて、お姉ちゃん心配してたよー!」


 家に帰ると月音姉さんにハグされたが、黄龍との戦いで負った傷がまだ痛くて、姉さんのハグがメチャクチャ痛かった。


「あだだだだ!!」


 僕は思わず声を上げてしまったが、月音姉さんは、僕をハグしたまま自宅に招くと、つい最近見たような光景が広がっていた。


「ふぁ!? パンダ強くなりすぎ!」


「うしし! ついに格闘ゲームでシャムに勝ったぞー!」


 そう、パンダは、この家で過ごす事になったし、しかも月音姉さんの学校に通う事すら許可された。


 本音を言おう。ここまで根回しするの、すっごい大変だったからな!


「あ、星音おかえりー、なんか痛そうだな。旅行先で怪我でもしたのか?」


 何も知らないパンダに心配されてしまったが、うん、やっぱりコイツあんまし好きじゃないかも!


「なーなー、星音も私と格闘ゲームしようよー、シャムに勝ったから今度は星音と勝負がしたいぞー」


「良いだろう、その余裕を終わらせてやる!」


 こうして、また我が家に家族が増えたのであった。

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