第38話「え? 宝石じゃないの?」

『え、月音ちゃんの家にメイドさんが四人増えたのは知ってたけど、また居候が増えたのですか?』


 学校でパンダちゃんの話を眠理ちゃんと美咲に言ったのだが、二人の反応はイマイチだった。


「月音……まさかファミリーパ◯チで家族増やしたの?」


「私は、おじさんじゃない! 知らないよぉ、イエネコの人達も何故か私の配下になりたいとか、月音様こそ我等の救世主とか言われて困ってんだよぉ」


「どう言う過程を踏んだら教祖になるんだよ」


 うん、しかもイエネコの人達と何だかんだで半月も過ごしてるけど、あの人達いつまで家に居るのだろうか?


『それよりも、パンダさんですか? その人は黒翡翠と言う宝石を探してるって本当ですか?』


「そうそう、なんか仕事で中国から来たらしいよ」


『……』


♡♤♧♢


『お邪魔します』


 何気に眠理ちゃんが家に来るの初めてだな。


 てか、前から気になってたけど、眠理ちゃんの電動車椅子って段差も乗り越えられるのか。


 どう言う構造なんだ?


 取り敢えず私はパンダちゃんを呼んだ。


「パンダちゃーん、居るかーい? お客さんだよー」


 返事がないなぁ、リビングの方か?


 私と眠理ちゃんがリビングに行くと、パンダちゃんとシャムちゃんが格闘ゲームをしていた。


「ふぇ!? シャム強すぎ!」


「にゃはは! これこそシャム様の力なりー!」


 すっげぇ自分の家みたいに過ごしてるよ、この子達。


「ん? おぉ月音、おかえり。その車椅子に乗った人誰?」


『初めまして、私は西海寺さいかいじ 眠理と申します。パンダさん、二人っきりで、お話できませんか?』


♡♤♧♢


 と、言うわけで、私は月音ちゃんの部屋を借りてパンダさんと話し合いを始めた。


『パンダさんは黒翡翠を探してるのですよね?』


「そうそう、それがあるとボスが褒めてくれるんだ!」


『失礼ですが、黒翡翠が何なのか知ってますか?』


「え? 宝石じゃないの?」


 なるほど、どうやらパンダさんは、黒翡翠は知ってますが、黒翡翠病を知らないと言う状況らしい。


 こうなったら、こうしましょう。


『分かりました。黒翡翠を手配しますネット通販で』


「……? 黒翡翠ってネットで買えるの?」


『少々値段が張りますが、そこは私が負担します』


「……」

 

 さすがにバレるだろうか? パンダと言えば中国の闇社会のトップに君臨する組織『赤龍チーロン』最強の戦闘員。


 下手したら、告死蝶のメンバーを三人使わないと勝てない危険な相手。


 そんな相手に、こんな幼稚な作戦が通じるとは思えない。


 が、私の予想とは異なる反応をした。


「ね、眠理……めっちゃ良い奴だな! やったー! 今はネットで何でも買える時代になったんだな! ありがとう!」


 この時に私は確信した。


 この子がアホの子で助かった。


 私は実家に連絡して黒翡翠を手に入れるように手配した。


 その後も星音様と相談した結果、パンダ討伐作戦を立案する事になった。

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