第27話「ようこそ猫カフェへ!」
「……星音、正直な事を言っても良い?」
「言わなくても良いよ、お姉ちゃん」
私達は、
私達の目の前には喫茶店があった。
しかし、看板を見て私達は固まった。
ーーようこそニャンニャンカフェへ! 女装伯爵がみんなを
「……都市伝説ってなんだっけ? ミステリー要素ゼロじゃん」
私は思わず口にして溜め息をこぼしたが、冷静に考えたら、こんな堂々と看板を掲げてると言う事は、この喫茶店は合法であり、都市伝説の女装伯爵とは無関係なのか?
かと言って、我ら探偵団である以上、罠と分かってても入るしかないか。
♡♤♧♢
「あ、いらっしゃいませー」
私達が入店すると、黒髪ショートヘアーの女の子がメイド服を着て店内を掃除していた。
私は店内を観察したが、至って普通の喫茶店にしか見えない。
「すみません、もうすぐ開店しますので、お席でお待ちいただけますか? あ、可愛い女の子も居ますね。二人ともお姉さんの妹さんですか?」
「その通り」
私は平気で嘘をついたが。許せ、これも調査の一環だ。
私達はショートヘアーの女の子に案内されて席に座った。
「新規のお客様ですよね? まだ開店前ですが、サービスとしてドリンク無料にします。何かお飲みになりますか?」
「では、エスプレッソを一つ」
本当はコーヒー苦手なのに、カッコつけてしまった。
星音はコーラ、夢ちゃんはオレンジジュースを頼んだ。
しばらくすると、ショートヘアーの女の子が三つの飲み物を持って来てくれた。
「もう少ししたら、他の子も来ますので、存分に当店を楽しんでくださいね」
「えーと、君の名前を聞いても良いかな?」
「私? この店では『キジトラ』と名乗ってます。当店の店員は基本的に猫ちゃんの名前を名乗るのがルールとなっております」
「あーその、キジトラちゃん? 忙しいのに悪いけど、看板の女装伯爵って、まさか都市伝説の?」
「あ! やはり、それ目当てで来てくれたのですね! そうなんですよー、ウチの子がネットに上げた作り話に尾ひれが付いて、気が付いたら、お客様が増えたのですよ! これぞ都市伝説効果!」
なんと、どうやら女装伯爵の元ネタはここだったらしい。
……どうしよう、メッチャ気になってた事を聞きたいけど、聞いて良いのかな?
「キジトラちゃん……もしかして、男の娘?」
「さすがは、お姉さん! 初見で私が男の娘だと分かるなんて、すごいですね!」
「ふ、毎日女装した弟を見てますので」
「まぁ、もしかして、こちらの妹さん達は、実は男の娘だったのですか?」
星音はうなづいたが、夢ちゃんは首を振った。
♡♤♧♢
「へー、お姉さん達、
開店時間となり、色んなお客さんやキジトラちゃんみたいな可愛い男の娘達が猫耳を頭に付けて色んな客の相手をしていた。
どうやら、ここは女装喫茶だったらしい。
私達はキジトラちゃんから、何かヒントが得られないか質問した。
「そのー、なんか女装伯爵に心当たりないかな?」
「うーん、ごめんなさい、私にはさっぱりです。本当は迷惑なのですが、でも女装伯爵を名乗る謎の人物が次々と事件を起こしてるせいで、逆にウチの店が儲かってしまって、喜ぶべきなのか、どうなのか困惑してます」
キジトラちゃん達も困ってるのか、どうやら女装伯爵とこの店は関係ないらしい。
キジトラちゃんが他の店員に呼ばれて、こちらに手を振ってから去って行くのを見送った後に、夢ちゃんが私に言った。
「月音お姉ちゃん、あの人、嘘ついてたよ」
「へ?」
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