第24話「恋バナしようぜ!」

 文化祭から三日後の学校の授業で不審に思った。

 

 なんか、担任の克奈ちゃんが、めっちゃ辛そうにしてるのは、気のせいだろうか?


 二日間も学校休んで代わりに別の教師が来て、今日戻って来たけど。


 なんか、胸の辺りが痛そうに見える。


 ははーん、さては好きな人ができたなぁ?


 克奈ちゃんも美人だしぃ? しかもスタイル良いしぃ? 文化祭で好きな人ができたのかにゃぁ?


 私が一人でニヤニヤしてると、隣の席から眠理ちゃんの電子音声が流れた。


『月音ちゃん、ニヤニヤしてる気配を感じましたが、どうしましたか?』


「ふ、克奈ちゃんが恋に落ちたのさ」


「違うわ!」


 克奈ちゃんからチョークが飛んで来たが、私は歯で止めた。


「ふにゃほげ、ありゃ」


「口に入ったチョーク吐き出してから喋ろ!」


♡♤♧♢


「よーし! 恋バナしよう!」


 私と美咲と眠理ちゃんの3人で、昼休みに恋バナを始めた。


『その、恋バナとは、なんですか?』


「なーに、自分の好きな異性の話で盛り上がろうって話だよ。眠理ちゃんは、お嬢様だからモテるんじゃない?」


『は、はぁ……見て分かる通り、こんな動けない女を好きになる殿方がいるとは思えないのですが』


「眠理ちゃん、自分の事を分かってない! 良いか、超絶美少女で眠り姫なお嬢様とか、世の男性達からしたら保護欲が掻き立てられる萌えポイントなんだよ! そうだろ田中くん!」


 私は近くに居たクラスメイトの田中くんに話題を振ったが、田中くんはドギマギしていた。


「な、なんで僕に話題振るんだよ」


「近くに居たから」


「酷い理由だ……西海寺さいかいじさんの事は可愛いのは認めるけど、僕達とは天と地程の差がありすぎるよ」


 田中くんの意見に対して、クラスの男子達がうなづいているのが分かった。


 やれやれ、初心うぶな男子達だなぁ。


「田中くん、君の恋が成就じょうじゅする事を願ってるよ」


「勝手に話題振られて、勝手に応援された」


 田中くんが、落ち込んでる中で、私は眠理ちゃんに聞いた。


「それで? 眠理ちゃんは、どんな男性が好みなの?」


『そうですね。共に歩み、共に同じこころざしを持ち、誰よりも優しく他者を思いやれる殿方が好きです……でも、私の初恋の相手には、もう会えないと思いますが』


 やはり恋愛経験があったか。


 私は次に美咲に聞いた。


「んじゃ、次は美咲〜」


「えぇ、私かよ? 強いて言うなら生徒会長の『にしき 聖明せいめい』先輩かな」


「おぉ、あのハイスペック会長か」


 錦 聖明、少女漫画に出てきそうなイケメン王子様系の先輩で、今は私が通ってる学校の生徒会長だ。


 文武両道で、スポーツも成績も人当たりも良い、同性異性からも注目されている完璧人間だ。


 が、私は完璧なんて信じない。


 絶対に錦先輩の裏には何かある。


「それで? 月音の好きなタイプは……分かりきってるが聞くか」


「我が信念に揺らぎなし、男の娘一択」


 私が堂々と宣言すると、背後から拍手が聞こえた。


「ははは、噂通りだね。やはり君しか頼れる生徒は居ないようだ」


 こ、この爽やかなイケメンボイスは。


 私達が振り返ると、教室には金髪のイケメン生徒会長である錦 聖明先輩が笑顔で立っていた。


 なぁんでここにいるのぉ?


「単刀直入なのは申し訳ないと思ってる。水無月 月音くん、我が生徒会に君の力を貸してくれないだろうか? 我が学校の存亡に関わる大事件を解決できるのは君しか居ない」


 まさかのご指名が入った。錦先輩の事が好きな美咲から睨まれながら、私は錦先輩と共に生徒会に向かった。

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