第22話「みんなの絆の力!」
「先代の騙蛾は、能力を四つ同時に発動できてたはず。それでようやく
やはりプロの傭兵、僕の弱点を突かれてしまった。
ケルベロスの言う通り、流星万華鏡は能力を四つ同時に発動して一つの能力となる力。
つまり、二つしか発動できない僕は文字通り半人前。
だが、半人前が本物に負けるわけがないだろ!
「お前と月音の関係を調べたぞ。お前達は血が半分しか繋がっていない異母姉弟のようだな。血が半分しか繋がってない姉を守るのか? お前は騙蛾としても半人前、弟としても半人前、そんな半人前のお前が命を賭けて守る価値が、月音にあるのか?」
「あるよ、だって蛾は月の光がなきゃ飛べない生き物だからだ!」
こうなったら次の一撃で決める。
僕は一人で戦ってるわけじゃない、僕を信じてくれた13人の仲間達の絆が僕に力を与えているからだ!
次が最後だと悟ったのか、ケルベロスも機械の両腕を犬の口のように構えた。
「来い」
「いくぞケルベロス!!」
僕の両手とケルベロスの両手が衝突した。
子供と大人、体格の差で負けるのは分かってる。
これは、騙蛾としての能力を元に僕がオリジナルで生み出した13人の絆の技だ!
「噛み砕く『
「邪悪よ滅べ『
♡♤♧♢
「ぜぇ、はぁ、な、なんだ今の技は? 先代の騙蛾は、そんな技を持ってなかったはず」
ケルベロスの機械の両腕がバラバラに破壊されていた。
混沌破壊、この技は秤蜘蛛と考案した技で……説明すると面倒なので、これだけは言っとく。
「これが、13人の部下達の絆の力だ!」
「……そうか、分かった、敗北を認めよう。しかし、俺からも言っておく、俺は地獄の番犬のコードネームを持ってるが、これは伊達や酔狂ではない。お前は告死蝶のボスとして地獄に足を踏み入れたのだ。俺は単なる始まりにすぎない、俺以上の邪悪が月音を狙い続けるぞ。お前はそれらから月音を守り通せるか?」
「やるかやらないかじゃない、やる一択だ。それに僕は一人じゃない、13人の仲間が居る。彼等が僕を信じてくれる限り、僕の心は折れない」
「ふっ、先代と同じだな。お前が最後まで生き残る事を檻の中で見守ってるぞ」
♡♤♧♢
はて? なんか記憶が飛んだ気がする。
体育館の観客席で何かあったらしいが、気が付いたら私達のバンド演奏が終わって、観客席から拍手喝采が上がった。
あ、やべー、緊張しすぎて気付いてなかったけど、星音と眠理ちゃん来てたかな?
私達は次の人達の出し物の邪魔にならないように楽器を片付けて壇上を降りた。
「くぅー! やっぱり観客が居る中でやるバンドは格別だよな! 月音のギター最高に良かったぜ!」
「そんな事より星音成分が欲しい。疲れたので男の娘で癒されたい」
「ブレない女、それこそ月音だな」
美咲と共に校内を歩いていると、目の前に星音と眠理ちゃんが居たが……ん?
「星音、汗びっしょりだけど、どうしたの?」
「あ、あはは、お姉ちゃんのバンド演奏が凄すぎて、そ、その感動の汗が出ちゃった」
まさかの感動の涙ではなく、感動の汗が出るとは。
しかし、ゴスロリ衣装を着てて汗だくな男の娘……リミッターを解除する。
私がレスリングのような構えを取った瞬間だった。
隣に居た美咲からラリアットを喰らってしまった。
「月音〜? ここ学校だよ〜? 変な気は起こさないでね〜?」
「く、さすがは我が親友、私の心を読んだか!」
こうして、何事も起こらずに無事に私達の文化祭は幕を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます